《ブラジル》国立研究所「第3波は終わりつつある」=感染者や死者減少傾向受け=主流はオミクロン株亜種のBA2

感染学上第14週までの週別の感染者(左)と死者(右)の推移(保健省公式サイトより)

 ブラジルの生物科学研究の中心である国立研究所オズワルド・クルス財団(Fiocruz)が8日、新型コロナの観測報告書で「オミクロン株による第3波は終わりつつある」との見解を表明したと同日付現地サイトが報じた。
 今回の報告書は3月20~26日(感染学上第12週)と3月27日~4月2日(同第13週)がベースで、急性重症呼吸器症候群(SARS)と新型コロナのデータを解析している。
 第3波が終わりつつあると見る理由の一つは、SARS患者に占める新型コロナ感染者の比率が98%から50・7%に半減した事だ。また、第3波の致死率は0・8%位で、昨年中の2~3%より大幅に低下した。現在の致死率低下は、オミクロン株は感染力が強いが、ワクチン接種進展で重症化例や死亡例が減った事が主な要因だ。
 現在は、接種対象外の年少者や接種未完了者が多い年齢層でのSARS患者増加が確認されているが、重症者や死者は高齢者が多く、新型コロナの死者の過半数は74歳以上だという。
 現在の感染はオミクロンのオリジナル株より感染力が強い同株亜種のBA2が主流だが、3~9日(感染学上第14週)も、新規感染者の7日間平均は2万1852人、死者の7日間平均は159人で、新規感染者や死者の減少傾向が続いている。感染者の平均は10日現在で13日間、2万人台が続き、死者の平均も9日間、200人を下回っている。
 それでもFiocruzでは、現状は第3波終息とは言えないし、致死率の高い変異株やワクチン接種でできる抗体をすり抜けるような感染力が強い変異株が現れる可能性もあるから、油断しないように呼びかけた。
 同日は、2度のワクチン接種完了者や既に感染した人でも時間と共に抗体が減るので、補強接種も受ける事が大切である事を示すデータも発表。閉鎖空間でのマスク着用継続も勧めた。
現在は、全面または開放空間でのマスク着用義務解除が全州に及んでいるが、感染学上第14週の感染者は前週の4・4%減、死者も17・4%減で、減少速度が鈍っている。
 多くの州は感染者や死者、入院者が減少し、集中治療室使用率もリオ・グランデ・ド・スル以外は6割を下回っているが、リオ、ミナス、アラゴアス、ゴイアス、セアラ、リオ・グランデ・ド・ノルテでは感染者が前週比で13・2~176・4%増、連邦直轄区やリオ・グランデ・ド・スル、セアラ、ミナスなどの10連邦自治体では死者が11・1~675%増えている。 

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