全伯に先駆け本格イベント再開!=モジ秋祭り、コロナ禍前の様相=16、17日も開催

鏡割りの様子
鏡割りの様子

 パンデミック後初の対面式の大型日系イベントが開催され、今後の行事運営を占うものとして注目を集めている。これは、モジ・ダス・クルーゼス文化協会(津田フランキ理事長)が主催する「第35回秋祭り」で、9日から同総合運動場で始まった。テーマは「未来」。コロナ禍によって苦しんだ過去から、明るい未来へと向かっていこうという想いが込められている。10、16、17日の計4日間で8万人の入場を見込んでいる。

 好天に恵まれ、イベント日和となった9日、敷地内にある「やすらぎの塔」で開拓先亡者追悼法要が午前10時から開催され、約100人が参列した。本門仏立宗の隆昌寺(りゅうしょうじ)住職の斉藤法明(ほうめい)師が導師を務め、しめやかに読経、参列者が次々に焼香した。
 斉藤師は法話で「パンデミックによって社会習慣が大きく変化した。適応することは大事なことだが、難しいこともある」とコロナ禍における生き方について説いた。歴代理事長を代表して山元治彦元理事長が挨拶に立ち、「第1回秋祭りはコクエイラ地区で開催され、当時この運動場はできていなかった。この地に日系施設を建設するに当たって、中心にこの『やすらぎの塔』を建てた」と歴史を振り返った。
 モジ初訪問の桑名良輔在サンパウロ総領事は「この地に入植し、農業などで貢献された日系の先駆者の皆さんに顕彰を捧げたい」とあいさつした。
 正午からは秋祭り特設舞台で開会式が行われた。福島県人会モジ太鼓部の12人による記念演奏が披露された後、コロナ禍先亡者に1分間の黙とうが捧げられた。津田理事長は「イベント再開の先駆けとなったことに大きな責任を感じている。市長や関係各所の皆さんには、不可能を可能にする協力をしてもらった」と感謝の言葉を贈った。
 飯星ワルテル元下議は「日系社会最大のイベントの一つであるモジ秋祭りが再開されことを心から喜びたい。秋祭りは収穫祭であり、生命の輝きを称賛する行事。これを機にコロナ後の社会生活が再建されていくだろう」と同イベントの位置付けを語った。
 安部順二元モジ市長は「元ブラジル日本会議理事長の徳力啓三さんが『知っておきたい日本の歴史』ポ語版を出版した。素晴らしい本なので、この機会にぜひ皆に知ってほしい。津田理事長に預けておくので、関係者は日本語学校や市役所に配ってほしい」と熱く述べた。
 チルソ・メイレレスSEBRAEサンパウロ会長、芦口ロドリゴ・スザノ市長などに続いて、カイオ・クーニャ・モジ市長が「もし日本人がモジに入植していなかったら、この町はどうなっていたかとよく思う。今のように農業や工業が発展していただろうか。彼らの勤勉さに学ぶべき点は多い」と称賛し、「ヨロシクオネエガイシマス」と締めくくった。
 鏡割りとなり、ブラジル日本文化福祉協会の西尾ロベルト会長代理が音頭を取って「ビーバ、サウーデ、カンパーイ!」と祝杯を挙げた。昼過ぎには食の広場の席は来場者で一杯になり、子供広場では親子連れが楽しそうに遊び、コロナ禍前の光景にもどっていた。
 来場者の新井ジョージさん(70、二世)は「再開を2年間楽しみに待っていた。天ぷらが美味しいんだ」と笑顔を浮かべた。
 会場では地元農産物の品評会や即売会が行われ、日本食の販売や、プロポリス販売、企業展示、生花や書道などの日本文化の紹介なども行なわれた。特設舞台ではマジックショー、和太鼓や踊り、歌謡ショーなどが披露された。
 モジ秋祭り開催概要は以下の通り。《日時》16日(土)は10時から22時まで。17日(日)は10時から21時まで《場所》Centro Esportivo Bunkyo de Mogi das Cruzes: Av. Japão, 5919- Bairro Porteira Preta《入場券》大人16レアル、子どもや学生、60歳以上は8レ《駐車場》25レ《詳細問い合わせ先》電話:11・4791・2022、サイト:www.akimatsuri.com.br。

街角ちょっと見=見どころたくさん秋祭り

 モジ秋祭りには多数の食のブースが出展している。中でも好評を博していたのが、モジ中央日本人会(藤井ベント会長)の4時間がかりでダシを取った特製あんかけ焼きそばだ。
 藤井会長は「担当者が朝5時にきて牛と豚の骨をグツグツと煮込み、4時間かけてアンを作った。具には牛肉、豚肉、鶏肉、タケノコ、白菜などが入っています。自慢の味をお試しあれ!」と薦めた。
 記者も実食したところ、麺には適度に焼き目が入って香ばしく、ボリューム、味ともに満足の一品だった。その他にもモジ文協の料理やサンパウロ市で有名な和洋菓子屋「ナナヤ」も出展していたりと、選ぶのに困るほど。
 モジ日本語モデル校の展示には、なんと「渋沢栄一の書」が展示されており、一世の目を惹いていた。聞けば、昨年の大掃除の時に資料庫から発見されたもの。秋吉功校長によれば、「ピンドラーマ会館に飾られてある渋沢栄一の書とまったく同じ筆跡」だとか。
 渋沢栄一といえば昨年、NHK大河ドラマ「青天を衝け」でその生涯が描かれたばかり。秋吉さんは「すごいものなんですが、一世にしか分からないのが残念」と悔しがっていた。(深)

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