民主運動(MDB)と民主社会党(PSDB)との連立(フェデラソン)で大統領候補を出そうとしているウニオン・ブラジルの下議たちが、自党候補に党首のルシアノ・ビバール下議を擁立する意向であることを明らかにした。これで同党に移籍したセルジオ・モロ氏の大統領選出馬の可能性がますます低くなった。13日付現地紙が報じている。
ビバール氏擁立は12日にウニオン所属の下議たちが発表したものだ。下議たちは「ビバール氏は党だけでなく、中道勢力全体を率いる力がある」と、その理由を語っている。同党下院リーダーのエウマール・ナシメント下議によると、これは同党下議が満場一致で決めたことで、14日にも正式発表の運びだという。
これは全く意外な展開だった。ビバール氏はウニオンの前身党の一つ、社会自由党(PSL)の創設者だが、2018年にボルソナロ氏を大統領候補として迎えるまでは、同氏以外の下議もごく少数の小政党に過ぎなかった。今回の大統領選も含め、大統領候補とみなされたことは一度もなかった。
その背後には、セルジオ・モロ氏に対する強い牽制の意味があると見受けられる。モロ氏はポデモスの大統領候補と目され、世論調査でも3位争いをするなど、同党からの大統領候補が確実と見られていた。だが、3月28日にビバール氏がモロ氏を3党連立の大統領候補にと強く望み、モロ氏を直接加入させたことで3月31日に電撃移籍した。
だが、同党内でモロ氏擁立を希望している勢力はごく少数で、特に、もう一つの前身党の民主党(DEM)からの反発が強い。元DEM党首でウニオンでは幹事長を務めるACMネット氏は、即座に同氏の大統領候補を否定。彼らは「モロ氏はあくまでサンパウロ州選挙区での候補」と念押しの発表をし、2日にはビバール氏の署名付でその見解を発表した。だが、モロ氏は「まだ大統領選出馬を諦めていない」という発言を繰り返している。
今回の「ビバール氏が大統領候補」との発表も、モロ氏は「報道で初めて知った」とCNNブラジルに語っている。モロ氏は「ビバール氏は偉大な政治家だ」と語り、「党の意向は尊重する」との見解を述べている。
ウニオン、MDB、PSDBの3党は5月18日にも、ルーラ氏、ボルソナロ氏に対抗する「第3の候補」の選出を行う意向でいる。だが、現時点では誰が候補になるかは読めない状況だ。
PSDBの党幹部らは昨年11月の党内選挙で勝利したジョアン・ドリア・サンパウロ州知事を推したいと考えているが、党内選挙で敗れたエドゥアルド・レイテ氏が反ドリア派の後押しを受け、逆転を狙っている。
MDBはシモーネ・テベテ上議を出馬させたい意向だが、現状の支持率が低いことと3党連立に意味を感じていないルーラ氏支持派の勢力があり、難しい状況だ。
だが、テベテ氏はむしろMDB外での評価が高く、中には「テベテ氏が正、レイテ氏が副」もあり得るとの報道も存在している。