サンパウロ州議会倫理委員会は12日、ウクライナ人女性に対して差別的な言動を行って問題となったアルトゥール・ド・ヴァル州議の罷免要請を満場一致で決めた。州議会本会議での投票日時は未定だが、同州議の罷免は避けられないものとなった。12、3日付現地紙、サイトが報じている。
この問題はヴァル氏が2月下旬、ロシアによる軍事侵攻が始まった直後のウクライナ国境に赴き、火炎瓶を作るなどしてウクライナに加勢する際、「ウクライナ女性は優しい。サンパウロ市の女性など比べ物にならない」と褒めたのに加え、「彼女たちは尻軽だ。それはやはり貧しいからだ」などと語った。
この発言は国内で大問題となったばかりでなく、「ウクライナ危機の最中での非常識な発言」として国外でも報じられ、国際的に批判を浴びた。
サンパウロ州議会では12日に倫理委員会が開催され、ヴァル氏の罷免を本会議に要請するか否かが話し合われた。同件の報告官はデレガード・オリム州議(進歩党・PP)で、同州議が三つの嫌疑で罷免を求めると、他の州議らも一斉に罷免に賛成。投票結果0―9で罷免審議を要請することが決定した。賛成票を投じた州議は左派から保守派まで様々だった。
これでヴァル氏が罷免審議にかけられることは決まったが、審議の日時はまだ決められていない。本会議では、94人の州議中48人が賛成すれば罷免が決定する。
市民政治団体のブラジル自由運動(MBL)所属のヴァル氏は「ママイ・ファレイ」の通り名のユーチューバーとしても有名で、2020年のサンパウロ市市長選で5位になるなど人気もある。だが、2019年には州議会での暴言で所属の民主党(DEM)を追放されるなど、以前からトラブルメーカーとしての一面を持っていた。
今回も本人は「僕が、国の選挙基金からの選挙費用助成も受けず、議員特権の公用車にも乗らないことを妬んでいる議員がたくさんいる。ウクライナでの発言とは関係なく、それが今回の決議にも反映されている」と訴え、ユーチューバーとして人気があり金銭的にも余裕があることを羨む他の議員が過剰反応していると反論している。
サンパウロ州議会では昨年も、2020年12月の本会議でイザ・ペナ州議に痴漢行為を行ったフェルナンド・クリー州議が罷免される事態が起きている。
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