2月15日に法定アマゾンの森林に鳥を獲りに行った後、行方不明となり、3月15日に無事に保護された先住民の兄弟(6歳と9歳)が、マナウス市の病院での治療を終え、自宅に帰った。
兄弟はマナウス市から332キロ離れたマニコレに住んでいる。2人は最後に姿を確認された場所から15キロ離れた森の中で発見された。雨水を飲んで約1カ月をしのぎ、奇跡の生還を遂げた兄弟は、脱水症状と栄養失調などで固形物を受け付けられない状態になっており、3月17日にマナウス市の病院に入院した。
兄弟が生還できた理由としては、迷ったのが1人ではなく二人であった事、野生動物からの攻撃を運よく免れられたことなどが挙げられる。
二人に退院許可が出たのは6日で、入院時は12キロだった弟は18・7キロ、18キロだった兄は26キロに回復。病院からマナウス市内の先住民向けの健康支援施設に移り、両親や姉(21歳)と共に数日間を過ごした後、12日に自宅に戻った。
兄弟は退院後、軍兵士達から顕彰を受けた。消防が捜索を諦めた後も、幼い二人を助けたい一心で捜索を続けた両親や部族の人々も顕彰に値するだろう。
一方で、兄弟の治療がマナウス市で行われた事からは、先住民を取り巻く医療環境などの厳しさが窺われる。彼らの地元には小児科医はおらず、集中治療室がある小児科病院もない。
マナウス市の先住民特別衛生区(Dsei)職員によると、一家は健康支援施設に着くと直ぐに眠ってしまったそうだ。翌日、兄の方に「新しい家は気に入った?」と訊くと、「自分の家に戻りたい」と言ったという。
アマゾンの森で迷った二人を救ったのも、家族から離れての治療期間を乗り越えさせたのも、生きようという意志と家族への思いだった。
6日には3月30日に失踪した祖母と孫(6歳と11歳)が無事保護され、母親と涙の再会を果たしたという話もあった。
「人」という字のごとく、人は互いに支えあって生きるものだという事や家族の大切さを改めて思わされるような出来事が続いている。(み)