全国市町村連合(CNM)がまとめたデータによると、子供に義務付けられている予防接種の実施率低下は2021年も続いており、予防接種で抑制されていた病気の感染再燃リスクが高まっていると14日付現地紙、サイトが報じた。
ポリオの接種実施率は17年の84・74%が21年には67・13%に落ちた。同様に、麻疹(はしか)とおたふく風邪、風疹を防ぐ3種混合の初回実施率は86・24%が70・94%に低下。結核を防ぐBCGも97・98%が65・93%に、B型肝炎の接種も85・88%が59・05%に落ちた。3種混合と水痘のテトラウイルスは35・44%が5・70%に低下した。
予防接種の実施率低下は2017年から継続的に観察されており、2018年に若干改善したが、それ以降は再び低下。ダッタSUSのデータによると、21年は、保健省の国家予防接種計画(PNI)で義務化された12種類の予防接種中10種類の実施率が70%未満だった。
また、残る2種も70・68%と70・94%で、理想とされる90%には程遠い。専門家によれば、現状は1980年代の水準だ。
予防接種の実施率低下は、病気の流行減少、公的機関のキャンペーンが以前ほど積極的ではない事、新型コロナのパンデミック以降は特にフェイクニュース(虚報)の影響が強まっている事などが原因だ。
2011~19年のPNIのコーディネーターのカルラ・ドミンゲス氏は、「虚報の影響は非常に強く、予防接種は子供の健康を損なうとさえ考える親が増えている。親の不安を解消し、現状を変えるには大規模なキャンペーン実施などの対策が不可欠」としている。
カルラ氏によると、ブラジルの接種実施率は1990~2015年に90~95%に向上。2016年には麻疹撲滅が証明されたが、接種実施率低下で2019年にサンパウロ州などで感染が再燃し、翌2020年に証明書が取り下げられた。
接種実施率低下による麻疹やポリオ、ジフテリアの感染再燃は国際的な問題で、ブラジルでも脳膜炎や髄膜炎、麻疹の流行が懸念されている。ブラジルのような大陸だと一部地域だけの接種では効果は薄いし、親の考えや態度による影響も大きい。
一例は新型コロナで、5~11歳児の初回接種率が現在でも54・51%と低いのは、政府の態度や虚報で接種は義務ではないと考える親がいる事や接種への恐れや迷いが原因とされている。
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