ブラジルは世界第4位のマンガン埋蔵国だが、現在採掘されているマンガンの多くは違法採掘で、大半は中国に輸出されていると18日付エスタード紙などが報じた。
マンガンは鉄鋼生産に不可欠な原材料の一つで、ブラジルは全世界の埋蔵量の約10%を有している。だがブラジル国内では、虚偽のインボイスを使って実際の採掘場所を偽り、先住民の土地や私有地から採掘したマンガンを大量に輸出している事が分かった。不法採掘が判明しているのはパラー州南東部のパラウアペバス、クリオノポリス、マラバーなどで採掘されたものだ。
偽のインボイスを発行した例は、ゴイアス州のCNBミネラソンエス社だ。同社が2021年12月16日に発行したインボイスには5千トンのマンガンをアジアに輸出すると記されている。
このインボイスに記載されたマンガンはゴイアス州カヴァルカンチで採掘されたものとなっているが、実際には、カヴァルカンチを出たトラック数百台は1300キロ離れたマラバーで採掘したマンガンを載せた上で、600キロ先のパラー州ヴィラ・ド・コンデ港から船に積み込み、アジアに送るという手順が取られていた。
カヴァルカンチの鉱山では20年前からマンガンの採掘は行われていないが、CNBはカヴァルカンチの鉱山から採掘したと記載した虚偽のインボイスで不法採掘のマンガンを輸出していたのだ。
同様の不正は後を絶たず、2020年8月には国家鉱業庁(ANM)がヴィラ・ド・コンデ港で不法採掘のマンガン7万トン(6千万レアル相当)を差し押さえている。この時差し押さえたマンガンの半分以上(3万7千トン)は、シグマ・エストラソン・デ・メタイス社が扱っていた。ANMは同年10月にも、不法採掘のマンガン14万6千トンを差し押さえている。
ブラジル鉱物調査会社協会(ABPM)は、パラー州南東部でのマンガンの不法採掘は非常に深刻な問題で、連邦政府が迅速に取り組むべき問題だとしている。
なお、ブラジルが輸出しているマンガンの大半は中国に輸出されている。今年1~2月の場合、中国が購入したマンガンは12万1千トンで、他の国々への輸出量は1万3千トンだった。2016~21年の累計でも、中国は1120万トン以上を輸入しているが、他の国々の輸入量は470万トンだった。
マンガン輸出を額で見ると、過去6年間の中国への輸出額は13億ドル(63億レアル)に上ったが、他の国々への輸出額は5億5700万ドル(26億レアル)だった。
これらのマンガンのどれだけが虚偽のインボイスによる取引かは不明だが、ABPMはかなりの部分がパラー州南東部から採掘されたものだと見ている。