《ブラジル》TVリポーターをメッタ刺し=批判報道への報復の可能性も

ガブリエル・ルイス氏(Twitter)

 ブラジリアで14日夜、グローボ局ブラジリア支局のジャーナリストが少年2人にナイフで刺される事件が起きた。同ジャーナリストはこの数日前にブラジリアのガン・クラブの不正疑惑を伝える報道を行っており、報復行為である可能性も考えられている。15〜18日付現地紙、サイトが報じている。
 襲撃を受けたのはグローボ局のレポーターのガブリエル・ルイス氏で、14日の23時過ぎ、自宅傍の駐車場で少年2人に襲われ、約10カ所に刺し傷や切り傷を負った。負傷箇所には首や腹部、胸部が含まれ、胃や肺、すい臓、横隔膜などに達する傷もあった。
 ガブリエル氏は市内の病院に運ばれた際も意識はあり、手術後に別の病院に移された。命には別条はないが、現在もまだ退院のめどは立っていない。
 ブラジリア市警は15日昼、ガブリエル氏を襲撃した17歳の少年を逮捕。同日夜にもう一人の少年も逮捕した。彼ら2人の映像は犯行現場の防犯カメラに残されていた。
 市警は現在、犯行の動機を捜査中だ、直接的な原因は電撃強盗とみられている。だが、財布は盗まれておらず、所在不明となっていた携帯電話も近隣住民が見つけ、ガブリエル氏の手元に戻されている。
 だが、警察やメディアが注目しているのは、ガブリエル氏が10日のグローボ局での報道番組で、連邦直轄区ブラジランジアにあるガン・クラブの不正を報じていたことだ。
 その報道によると、ガン・クラブからは敷地内の囲いを超えた銃弾が近隣に漏れ、住民の家の壁や木に当たっていたという。住民たちはこれに対し、「身の不安を感じている」などと証言していた。
 警察は、今回の犯行とこの報道に関連性がないか、ガブリエル氏への報復の可能性はないか、などについて調べている。
 ブラジルはかねてからジャーナリストへの暴行事件の多い国として知られ、2019年の調べでは世界ワースト4位を記録している。
 今回の事件後、最高裁のジウマール・メンデス判事は「強い憤りを感じる。ジャーナリストという職種に対する保護対策の強化が必要だ」と語っている。

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