ブラジル日系文学会(櫻井セリア会長)は3月、『ブラジル日系文学69号』(発行者=近藤アンドレ、編集者=宮川信之)を刊行した。編集者の宮川さんが12日に編集部を訪れ、刊行報告と同誌への寄稿呼び掛けを行った。
今号ではモジ在住の野澤由紀子さんが『明治はそこに』を寄稿。野澤さんは、渋沢栄一が晩年を過ごした東京の飛鳥山で生まれ、親から「ここが渋沢栄一邸ですよ」などと教わりながら育った。《広い庭園と建物の向こうに木立が囲んでいた景色》を覚えているという。
野澤さんは国民学校1年生の頃、書道展で特選になり朱塗りの硯箱をご褒美にもらった。硯箱はブラジルにも持参し、《80年間、私の唯一の宝物となっています》という。随筆は《いつかまた、お弁当とお茶、それに豆大福を持ってもう一度、あの飛鳥山へ行ける日が来るのを楽しみに待っている今の私です》と締めくくられている。
他にも『ブラジル老漫紀行』(赤星淳子)、『俳句の数え方』(かぴばら俳句会、選者・三輪遊(みわ・ゆう))、『フランスから発信される日本語短歌に期待する』(小塩(おしお)卓哉)など読み応えある寄稿が並ぶ。
同誌は年3回発行。70号用の投稿作品も4月末まで幅広く募集中だ。小説(字数制限なし・長編は分割掲載)、随筆、(7200字まで)、実にエッセイ(800字まで)、短歌(五首まで)、俳句(五句まで)、川柳(5句まで)、詩(2編まで)。
宮川さんは「バイリンガル文芸誌ならではの特徴を活かしたい。会員でなくても投稿可です。ぜひより多くの投稿とアイデアを寄せてください」と呼びかけた。
寄稿先は日語版編集の宮川さん(メール=nikkeibungakujp@gmail.com、ワッツアップ=11・98644・4612)まで。
同誌は日系書店の太陽堂(電話:11・3207・6367)や竹内書店(電話:11・3104・3329)で45レアルにて販売中。