110ヘクタールの葡萄畑=ジュアゼイロの日系農家を訪ねて(3)=社員800人、品質管理を徹底

選別場の様子
選別場の様子

 ドイ家の経営する「ファゼンダ・グローバル(Fazenda Global)」社には約800人の社員が在籍し、食料保管センター公社(通称セアザ)や各地方市場への卸販売を始め、アメリカやヨーロッパ、ドバイへの国外輸出事業を行っている。その販売量は年間5千トンにも上り、その内訳は国内販売が6割、輸出販売が4割だという。
 衛生管理部や財務部、販売部などで8年の勤務歴を持つフランスィレイニ・サラメンさんが、品質管理の要となる選別場を案内してくれた。
 選別場に入るには、各種病原菌の場内蔓延防止の為、マスクと専用服着用の上、アルコール消毒を行い、携帯電話も入り口に預けなければならない。携帯電話の画面には多くの菌が付着しているため、持ち込みが禁止されている。
 選別場に入ると、その日に摘まれた葡萄がベルトコンベアーの上を流れていた。それを社員が慣れた手つきで輸出販売用と国内販売用、除外品の3つに分けている。この選別場では、一週間で葡萄パック約1万個分が選別されている。品質管理のため、2重チェック体制をとっており、販売基準に満たない葡萄がパック詰めされていた場合、そのパックが入った段ボールごと差し戻され、すべての葡萄に問題が無いか見直される。その他にも葡萄の品質が一定に保たれているかを管理する糖度測定も行う徹底ぶりだ。
 除外品は、販売基準に満たないが食すことのできる葡萄を指し、廃棄せずに葡萄酒製造会社にワイン用に販売している。
 続いて、同施設内に設置された大型の冷蔵倉庫に足を運んだ。冷蔵倉庫では、専用の冷蔵技術を用いて、パック直後の葡萄を8時間かけ、7~8度まで温度を下げる。高気温が続くジュアゼイロの畑から摘まれた葡萄は果肉が熱をもっているため、そのまま保存すると品質低下に繋がるのだ。
 温度が下がった葡萄は、管理温度の異なる輸出用と国内販売用の冷蔵庫にそれぞれ保管される。保存期間は最大2日までで、それまでに販売するように徹底したスケジュール管理を行い、毎日大量の葡萄を各所に出荷する。
 フランスィレイニさんは、「お客様のもとに、一番おいしい状態で届くように管理しています。特に輸出は販売基準も厳しく、国外のお客様の手に届くまでに時間を要するので不備がないように細心の注意を払っています」と語る。(淀貴彦記者、続く)

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