「新型コロナウイルスもいよいよエンデミック(局地流行状態)に突入したのかな」。コラム子は最近、そう思うようになってきた。連日報じられる感染者、死亡者数の減少を見てもそう思うが、それ以上に、密を作る大型イベントの実施後にも集団感染の痕跡が見られないのだ。
そのことは3月末に身を持って実感した。サンパウロ市南部インテルラゴス・サーキットで行われた「ロラパルーザ・ブラジル」。1日の観客動員が10万人を超える日が3日間も続いた。過去2年パンデミックで中止に追い込まれていたこの音楽フェスティバルは今年、2月にオミクロン株の流行が峠を越えたことで開催に踏み切った。
当初は、マスク着用とワクチン接種証明の提示義務を設けての開催だったのが、直前になってマスク着用義務が外れた。すると、会場に詰め寄せた観客たちは自重することなく、マスク無しでコンサートを楽しんだ。
コラム子はワクチンを3度打ってはいたものの、家族への感染が心配で、3日間律儀にマスクをつけて臨んだが、そういう人はかなり少数派だった。
来場者のマスク着用率は体感として、100人に1人は言い過ぎだが、10人に1人というものでは間違いなくなかった。おおまかに言えば、10万人中9万人がマスク不着用ということになる。正直に言って、イベント中は「感染するのではないか」との不安が常にあった。
だが、いざロラパルーザが終わっても、サンパウロ州では、感染者、死亡者の影響は数字には全く現れなかった。あたかもそんなイベントすらなかったかのように。それどころか、サンパウロ市とほぼ同じ出演者、観客規模で行われたアルゼンチン版、チリ版でもそれは全く同じだった。
そして、それと同じことが先週、サンパウロ市とリオのカーニバルで再び証明された。パレードの会場となったサンボードロモにはマスク不着用の出演者、観客が何万人も詰め掛けていたが、そこでもロラパルーザ同様、感染者のぶり返しなどは起こらなかった。
サンパウロ市ではかなりギリギリまで、ブロッコ(市街でのカーニバル)を開催するか否かでもめていたが、これだけ密の影響がないなら開催しても問題なかったのではないかと思える。
この先に変異株などが待ち構えているかもしれないが、そうでもない限りは状況としてはかなりエンデミックに近づいているのではないか。慎重さは忘れてはいけないが、あるべき日常への復帰も同時に進めるときなのではないかと思う。(陽)