日本政府は令和4年春の叙勲受章者を29日に発表した。ブラジルからはブラジリア(2人)、サンパウロ(2人)、クリチバ(1人)、マナウス(1人)、レシフェ(1人)の5管内で外国人叙勲者計7人が受勲。邦人叙勲は今回、該当者がいなかった。叙勲者と功績は次の通り(敬称略)。
【在ブラジル日本国大使館推薦叙勲受章者】
▽カルロス・マグノ・カンポス・ダ・ホーシャ(70歳)=旭日中綬章=ゴイアス州フォルモサ市在住。元ブラジル農牧研究公社総裁。元ブラジル農牧研究公社セラード研究所長。バイア州及びマット・グロッソ州におけるセラード農業の開発技術の適用、普及及び発展に貢献。環境保護に配慮した資源保全型の総合的農牧開発技術の確立を実現させた。
▽小原彰(あきら)(82歳)=旭日小綬賞=サンパウロ市在住。ブラジル予備役陸軍少将。元陸軍航空部隊司令官。1995年、日系人として初のブラジル陸軍少将に昇進したことで、ブラジル社会における日系人の地位向上に貢献。天皇陛下謁見や皇居清掃を実施した日本派遣団の組織、大竹富江氏による移民100周年記念モニュメント建立実現のための寄付金の募集、サンパウロ市の福島県及び宮城県人会を代表して実施した東日本大震災による被災地訪問等、日伯友好関係強化に尽力した。
【在サンパウロ総領事館推薦叙勲受章者】
▽石川レナト(83歳)=旭日小綬章。サンパウロ州バルエリ市在住。現ブラジル日本文化福祉協会(文協)会長。元サンタクルス日伯慈善協会理事長。文協会長として、ブラジル内の日本文化・価値観の維持及び普及に尽力。また、サンタクルス日伯慈善協会理事長としては、医療提供の効率化やサービスの向上を図るため、ブラジル初のトヨタ方式を導入するなどの改革を推進。さらに、NECラテン・アメリカ社初めての日系人社長として、ブラジル日系人の地位向上に係る活動を行い、日伯両国間の親善交流面で貢献した。
▽ロベルト・ジアネッチ・ダ・フォンセカ(72歳)=旭日小綬章=サンパウロ市在住。元貿易審議会(CAMEX)局長。元サンパウロ州工業連盟(FIESP)国際貿易局長。カルドーゾ政権時代にCAMEX局長としてエタノールや航空機の日本への輸出実現に取り組み、日伯経済連携協定(EPA)交渉で協議・検討を推進するなど、日伯経済関係の深化に貢献。FIESP国際関係貿易局長として、日伯経済関係の強化にも努めた。
【在クリチバ日本国総領事館推薦叙勲受章者】
▽サチオ・カユカワ(78歳)=旭日小綬章=パラナ州アプカラナ市在住。元アプカラナ市議会議長。元アプカラナ文化体育協会会長。7期にわたるアプカラナ市議時代、同市最大規模のインフラ計画や市内の交通事情改善に取り組み、同市の経済的発展に貢献。また、6月18日を「日本人移民の日」として同市の公式記念日に制定するために尽力。さらに、約10年間にわたりアプカラナ文化体育協会の会長を務め、同氏発案の「桜祭り」は現在、一大日本文化イベントとなっており、ブラジルの日本の文化・伝統の普及と継承に貢献した。
【在マナウス日本国総領事館推薦叙勲受章者】
▽ムツオ・カネヒラ・サトウ(77歳)=旭日単光章=アマゾナス州マナウス市在住。元エフィジェニオ・デ・サーレス移住地自治会会長。現エフィジェニオ・デ・サーレス農業協同組合組合長。エフィジェニオ・デ・サーレス移住地で長年、同移住地自治会の活動に貢献。会館施設と運用の改善を行い、会員間の交流を促進した。また、エフィジェニオ・デ・サーレス農協で、日本語を解さない移住者子弟組合員とのコミュニケーション円滑化を図る取り組みを行い、同移住地日系社会の世代交代に向けた礎を築いた。同農協組合長として、農協の経営に係る諸問題にも対応した。
【在レシフェ日本国総領事館推薦叙勲受章者】
▽アンジェラ・タミコ・サトウ・タハラ(75歳)=旭日小綬章=バイア州サルバドール市在住。元バイア州連邦大学看護学部教授。日本留学中に東京大学博士号を取得し、ブラジル内でその成果や経験を各州の医療関係者に伝達した。また、バイア連邦大学看護学部主催で催された国際老人医療セミナーへ日本大学及び静岡大学の教授らを招聘し、日本の老人医療及び健康保険管理の現状を広く伝えるなど、看護分野における日本とブラジルの学術・人物交流促進に貢献した。