「メーデー(労働者の日)」の1日、全国各地では例年同様、労働組合などの集会が開かれた。今年は選挙年である事や、ボルソナロ大統領が前日に最高裁を攻撃する内容の集会への参加を呼びかけた事などから、親・反ボルソナロ派の集会が同じ市内で開催されるなど、政治色が強く出たと1、2日付現地紙、サイトが報じた。
親ボルソナロ派の集会が持たれたのは、サンパウロ、ブラジリア、サルバドール、ヴィトリア、ゴイアニア、サンルイス、カンポ・グランデ、ベロ・オリゾンテ、レシフェ、リオ、アラカジュなどだ。
これらの市では、ボルソナロ氏が4月30日にミナス州ウベラバで開かれた公式イベントで呼びかけた最高裁への攻撃の他、軍の介入などの非合憲的な内容の横断幕や投票結果の印刷付投票などを求める看板などが掲げられた。
サンパウロ市パウリスタ大通りでの集会では、「我々は表現の自由を諦めない」「全ての事が憲法の定める範囲の中で執り行われるべき」などと訴えるボルソナロ氏のビデオが流された。また、最高裁封鎖や最高裁判事更迭を叫び、軍政令第5条(AI5)復活を訴え、最高裁から8年9カ月の実刑判決や被選挙権停止などの判断を受けたダニエル・シルヴェイラ下議や、同下議の懲罰を免除する内容の恩赦を出した大統領の判断を擁護する声が上がった。
同下議自身はニテロイ市とリオ市での集会に参加し、逮捕・勾留は違憲で自分は被害者と主張した上、自身の裁判をお蔵入りにし、電子足環不使用に関して徴収された罰金を返金する事なども求めた。
また、ボルソナロ氏自身はブラジリアでの集会に電撃参加したが、最高裁や議会との不必要な摩擦を避けるようにとの忠告などもあり、演説は行わなかった。
他方、反ボルソナロ集会が行われたのは、サンパウロやブラジリア、フォルタレーザ、ベロ・オリゾンテ、リオ、ナタル、アラカジュ、フロリアノポリスなどだ。
一方、サンパウロ市での反ボルソナロ集会はパカエンブ・スタジアムの前でのメーデーを祝う集会で、労組関係者らが労働者党(PT)のルーラ氏支援を表明。ルーラ氏も、10月の大統領選では「ボルソナロ氏より良い誰かが当選する」と語った上で、集会前日に「ボルソナロ氏は我々が嫌いで、警察が好き」と語った事について謝罪した。
反ボルソナロ集会は労組関係者や野党の政治家らが中心であったため、「雇用、権利、民主主議、命」「飢餓と汚職はもうたくさん」などと書いた看板や横断幕、演説が目立った。また、スクールバス購入での教育省絡みの汚職疑惑を皮肉り、バスの絵に「ボルソロン・ド・ブゾン」(バスを使った大統領の汚職)と書き、抗議の意を表明した人達もいた。
ブラジリアで開かれたメーデーを祝う集会に参加したシロ・ゴメス氏(民主労働党・PDT)は、労働改革は労働者への深刻な打撃を与えたとし、歪みを正すための対話を提案した。
シロ氏は、テメル前大統領とボルソナロ大統領の政権は、労働者に対する「テロの宣伝」を促進し、労働者の「基本的な権利を差し引く」ために様々な口実を利用しているという表現で労働改革を批判。労働改革で生じた歪みを矯正するために労働者や雇用者との対話を促す事を約束した。