6月26~29日に開催される主要7カ国(G7)首脳会議議長国のドイツが2日に招待国を発表したが、ブラジルは入っていなかったと2、3日付ブラジル国内紙、サイトが報じた。現政権はG7に1度も招待されておらず、ボルソナロ大統領はG7には参加できないまま、今回の任期を終える事になる。
G7は欧州連合(EU)と米国、カナダ、日本、フランス、英国、イタリア、ドイツで構成される先進国のグループで、各会議にはその時々のサミットに関連する複数の国が招待される。今年の招待国は南アフリカ、セネガル、インド、インドネシア。
昨年のG7は英国で開かれ、オーストラリアとインド、南アフリカ、韓国が招待された。米国が議長国だった20年、ボルソナロ大統領は「今年は招待されるだろう」と語ったが、同年のG7はコロナ禍で延期され、ブラジルは招待されなかった。
19年の議長国はフランスで、エマニュエル・マクロン大統領が法定アマゾンの森林火災を抑制するための緊急支援を行うと宣言したが、同大統領からの批判を嫌ったボルソナロ大統領がその直後に、「マクロン大統領の真意は他のところにある」と発言。両国間に険悪な雰囲気が漂った。
今年のG7では、ドイツが常にグループ内の中心課題としてきた持続可能な環境政策について論議される。今年のテーマは「公平な世界への進展」で、持続可能な地球のための同盟関係強化などが話し合われる。
G7では折々の世界情勢を見据えた重要事項に関する議論も行い、共同声明を発表する。今年の重要事項には何を取り上げるか公表されていないが、少なくとも一つはロシアによるウクライナ侵攻となる事は必至だ。
2月24日に起きたウクライナ侵攻以来、ブラジルに駐在しているG7関係国大使らは、ロシアに対するブラジルの立場を明白にするよう求めていたが、ブラジルからは満足の行く返答はなされていない。
G7サミットは一時、G8サミットとも呼ばれていたが、14年のロシアによるクリミア半島侵攻以来、ロシアを除き、G7に戻っている。
ボルソナロ大統領は環境問題で既に孤立していたが、世界の食糧危機を救うためにも肥料輸入が必要などと強調し、ロシアに対する制裁などには関わらないという姿勢は、世界におけるブラジルの立場を危うくし得る。
ブラジルはBRICSの一員という立場からもロシア問題からは距離を置こうとしている。その一方で、南アフリカやインドも欧米諸国によるロシアへの制裁に関わっていないし、インドに至ってはロシアとの経済的、政治的関係をより強化しているのにG7には招待されており、ブラジルが孤立している事が改めて浮き彫りにされた。
ボルソナロ大統領は昨年10月に開催されたG20の際も、各国首脳が様々なテーマで話し合ったりしているのに会話に入らず、単独行動をとった上、経済の回復具合や自分自身の支持率などで虚偽の情報を流してひんしゅくも買った。
ブラジルがG7に招待され始めたのは、経済的な勢いや環境への取り組みで注目されたルーラ大統領時代だ。ブラジルはそれ以降、次第に勢いを失っており、現政権は新興国同士の協力関係その他の外交問題でも経済上の勢いでもルーラ政権に大きく水をあけられている。
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