「イペランジアホームがこれだけ綺麗になって、親も天国で喜んでくれていると思う」―。こう語るのは、同ホーム創設のために土地を寄贈した故内谷(うちや)忠雄さんの三男で、モジ・ダス・クルーゼス市に住む内谷武(たけし)さん(79歳、2世)だ。
4月22日、サンパウロ日伯援護協会(援協、税田パウロ清七会長)の傘下高齢者施設「イペランジアホーム」の国際協力機構(JICA)助成による設備増改築工事終了お披露目式が、スザノ市の同ホームで開かれた。
JICAによる同ホームへの助成金額は約128万4千レアル。三島セルジオ施設長によると今回の増改築により、倉庫・トイレ施設の増設、日本庭園の新造のほか、施設内のエアコン整備、大型冷凍・冷蔵庫および太陽光パネルが設置された。特に、太陽光パネルの設置により、月1万レかかる電気代が2千レに軽減されたという。
お披露目式には、JICAブラジル事務所の江口雅之所長をはじめ、税田会長、菊地義治評議員会長ら援協役員及び職員、ホーム関係者のほか、スザノ市関係者など約30人が出席した。
新設された倉庫内で行われた式はスザノ市議の高山アルツール氏の司会で進行し、同ホーム運営委員長の藤村隆次(たかつぐ)氏が挨拶。コロナ禍で施設内の感染を最低限に抑えてきた経緯に触れ、「JICAの支援で完成したプロジェクトを最大限に生かし、入居者の豊かな老後生活に役立てることを信じています」と述べた。
税田会長は、1983年に創立されたホームが来年40周年の節目を迎えるとし、JICAの支援で施設がさらに充実したことへの感謝の気持ちを表した。
スザノ市政治局長のアレックス・サントス氏に続いて祝辞を述べた江口所長は日系社会への高齢化支援について、今後もさらに継続していく考えを示した。
倉庫前での記念プレート除幕の後、出席者一同は三島施設長の案内で、増改修されたホーム内部を視察して回った。
高橋博志(ひろし)さん(79歳、北海道出身)夫婦は、リオ州ペトロポリス市に住んでいたが、2012年から同ホームに入居している。「コロナ禍で楽しみのカラオケや社交ダンスが今はできていませんが、自然環境が抜群の場所ですし、設備もどんどんと良くなって嬉しいです」と笑顔を見せた。
式の締めくくりは菊地評議員会長が恒例の乾杯の音頭を取り、出席者は軽食を取りながら歓談を楽しんだ。