サンパウロ州カンポス・ド・ジョルドン市にあるサンパウロ日伯福祉援護協会(援協)傘下の老人養護施設「さくらホーム」と、隣接する「さくら公園」の両敷地内には「知る人ぞ知る」胸像と記念碑が建立されている。
ホーム内にあるのは、ブラジル日系社会でも有名な細江静男氏(故人)の胸像。同氏は1924年に結成された「在ブラジル日本人同仁会」(同仁会、現サンタクルス日本病院)の医師として活動。その後、37年にカンポス・ド・ジョルドン市に開所した当時の結核患者療養所(現さくらホーム)の完成に尽力した。胸像は77年10月1日に建立されている。
一方、「さくら公園」の入口から向かって右方向に10メートルほどの距離に建立されているのが、「ブラジルさくら音頭発祥の地記念樹」と書かれた記念碑。
記念プレートには、81年6月に同地を訪問した当時の東京舞踊学校校長だった榊原帰逸(さかきばら・きいつ)氏が、「ブラジルさくら音頭発祥の地」として桜を植樹したことが記されている。ちなみに、ブラジルさくら音頭は榊原氏が作詞し、日本の作曲家として有名だった市川昭介氏が作曲している。
ブラジル国内各地にはこうした記念碑や胸像等が数多く遺されており、暇と金がある人は一つ一つ丹念に調べていけば、日系社会の歴史がより良く分かるかも。(松)