レジストロ=リベイラ沿岸日本移民史料館へどうぞ!=新史料館建設は来年が正念場か

仮史料館の全景
仮史料館の全景

 サンパウロ州レジストロ市にあるリベイラ沿岸日本移民史料館(清水リナ担当理事)が昨年11月28日に仮オープンし、毎月150人前後が来館している。同史料館はレジストロ日伯文化協会(川尻イリネウ誠会長)が運営し、同市役所が援助している。現在の施設は仮のもので、将来的にはリベイラ川沿いに建物を新築する予定だ。4月23日に訪問して、現在の様子を聞いた。
 仮史料館は、以前は市文化局だった建物で、市がレジストロ日伯文化協会に無償提供している。市所有の640平米の土地の内、255平米を使用して建てられている。

清水理事
清水理事

 仮史料館には日本人移民が持ってきた斧や鎌、鍬などの農具、網や仕掛け籠などの漁具、ゴザを編む機械、大工道具、仏壇や生活用品など96点の実物が展示されている。
 展示パネルでは植民地の歴史やその頃の日本の様子が説明され、故山村敏明リベイラ沿岸日系団体連合会会長、那須野英男レジストロ文協顧問、史料館移転責任者の佐々木悟さんらが歴史を証言する映像も公開されている。
 戦後移民の福澤一興(かずおき)同館理事(文協顧問)は、「レジストロへの日本人入植の歴史を知ってもらうには最適な施設。ぜひご来館ください」と薦める。

文協顧問の福澤さん
文協顧問の福澤さん

 昨年12月、日系4世タクシ・カルラさんが正面の壁に日本文化や姉妹都市の岐阜県中津川市などにちなんだ壁画を描き、入り口の雰囲気を明るくした。

来年が移住110周年の節目

 リベイラ沿岸日本移民史料館はもともと、レジストロ地方への日本人入植を推進したKKKK(海外興業株式会社)によって1922年に建造された歴史的建造物を使っていた。KKKKは、入植事業の要の施設として精米所や倉庫などを建設し、史料館は当時、レジストロ日本移民史料館と呼ばれていた。
 その後、市が社会商業サービス(SESC=民間の文化・スポーツ振興団体)の誘致に成功すると、同建造物をSESC施設として転用することを決定。市は新しい史料館の建設を支援することを約束し、史料館は2016年7月に施設から退去した。

基礎工事で止まっている本来の史料館
基礎工事で止まっている本来の史料館

 それからリベイラ川沿いに新史料館建設のための基礎工事が開始され、途中、環境規制などの理由で工事が一時差し止めされたこともあったが、清水担当理事によれば「現在は裁判も終わり、建設を進めていい状態になっている」という。
 以前集めていた建設費用はインフレなどで目減りした状態で、「これから不足している建設資金分を集め始めるところ」だという。
 KKKKの建物は今年建設100周年を迎え、レジストロ地方も来年で日本人入植110周年を迎える。今年から来年にかけての節目が、新史料館建設の正念場になりそうだ。
 仮史料館の施設概要は次の通り。【名称】Memorial da Imigração Japonesa Vale do Ribeira【住所】Rua Miguel Aby-Azar, 224 – Centro, Registro【連絡先】電話:13・3821・4130/メール:memorialimigracaojaponesavr@gmail.com/フェイスブックhttps://www.facebook.com/memorialimigracaojaponesavr/【入場料】無料【営業時間】火曜日から日曜日の10から12時、13時から17時【常駐職員】大西ユキエ・ルシアさん。

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