聖南西教育研究会(渡辺久洋会長)主催の第18回低学年デイキャンプが4月30日、コロニア・ピニャール文化体育協会の体育館及びグランドで開催された。
同イベントでは、聖南西地区の日本語学校の9~13歳の生徒が集まり、1日スポーツやゲームなどを行う。研究会に加盟する日本語学校全8校(コロニア・ピニャール、レジストロ、イビウーナ、ピラール・ド・スール、サン・ミゲール・アルカンジョ、カッポン・ボニート、ソロカーバ、ピエダーデ)から参加希望生徒47人と教師15人、14~17歳の生徒助手4人が参加した。
聖南西教育研究会では「日本語学校は日本語を学ぶだけではなく、他の学校の生徒と交流を図り、色々な経験をして楽しい思い出を作り、人として成長させることも大切な役割」との理念のもと、12歳以上の生徒を対象に林間学校や青空スポーツ教室といった行事を行っている。
研究会に所属する教師らは「現代社会では限られた特定の仲間以外とは積極的にコミュニケーションを取ろうとしない風潮が見られ、低学年の段階から多くの人達と行動をすることによりコミュニケーション力や団体行動でのとるべき行動を養う必要性が以前より高まっている。ブラジルで継承されてきている児童対象の『日本語教育』は、こういう活動を含めてこそその意義があるのではないか」との認識を共有し、長年課外活動を継続してきた。課外活動による教育効果は様々な面ではっきりと見られるという。
午前9時半に開会式が始まり、地元コロニア・ピニャール文協教育理事の有我こうじ氏、聖南西文化体育連盟の原口イレーネ教育部長から「今日は寒いですが、けがをしないで1日楽しんでください」と励ましの言葉が生徒に贈られた。
続いて挨拶に立った渡辺会長が生徒に「パンデミックの間ずっと家にいてスマホなどをしていた時と、学校に通っている今とどちらが楽しいですか」と問うと、生徒全員から「今のほうが楽しい」との声があがり、渡辺会長は「友達や仲間はとても大切な存在です。今日は初めて会う人たちばかりで、最初は恥ずかしいかもしれないが勇気を出して他の子に話しかけてください。今日できるつながりは、これからも続く日本語学校生活にずっとつながっていくので、たくさん友達を作ってください」と行事の意義を説いた。
ラジオ体操後、『鬼ごっこ』や5チームに分かれての『ドッジボール』など様々なゲームが行われた。ゲームが開始されると、すぐに生徒の緊張もほぐれ、チームメイトへの応援や歓声など元気な声が響き渡り、活気ある雰囲気に包まれた。
昼食休憩時間には、他校の生徒と一緒に昼食を食べる生徒やドッジボールやバレーボールで遊ぶ生徒の姿が見られ、早くも多くの子達が打ち解け合い、楽しんでいる様子が見られた。
午後は『チーム対抗マレットゴルフ』や『リレー』、『宝探し』が行われ、午後3時15分ごろ全プログラムを終了した。参加者からは早くも「来年もぜひ参加したい」という声が聞かれ、ピラール・ド・スール日本語学校の斉藤とみえちゃん(12歳)は、「友達が6人できた」と友達の名前を先生たちに嬉しそうに教えて回っていた。
参加した教師は「生徒らはこの2年間のパンデミックで他校のとの交流機会を閉ざされてしまっていた。13歳以上の生徒は昨年12月に行った林間学校で旧友との再会や新たな友達作りができたが、今回の参加者の大半を占める11歳以下の生徒は今回が初めての交流だった。デイキャンプでは、生徒同士のつながりが予想以上に見られ、皆が笑顔で楽しそうにしていてとても嬉しかった。また以前のように地区の日本語学校の生徒のつながりの輪が大きくなるという確信と安堵が得られた」と課外活動再開の喜びと今後の地区の日本語教育活動に対する手ごたえを語った。