10月の大統領選への出馬を正式に表明したルーラ元大統領(労働者党・PT)が9日にミナス州ベロ・オリゾンテでの集会で、ボルソナロ大統領が電子投票を疑っているのは落選して逮捕されるのが怖いからだと発言したと9、10日付現地紙、サイトが報じた。
ルーラ氏の発言は政治家や芸術家などが集まるエクスポミナスでの集会中に行われたもので、「ボルソナロに残された日は僅か。電子投票を疑っても無駄だ。それは、落選して逮捕されるのが怖いからだ」と語った。
ルーラ氏は、ボルソナロ氏は「無知」「暴力」「ファシズム」の代表で、ブラジルは再建が必要と主張。最低賃金を引き上げ、中小規模の農家を奨励する事は可能とも述べた。
また、そのために教育や雇用、科学技術の発展について考えているとし、生活の質の向上や、昼食や夕食を毎日食べられ、憎しみに打ち勝って人間的に生きる事を願うなら、10月の選挙に勝つ必要があると訴えた。
さらに、03年の選挙で勝って培ったものを取り戻すには今あるものを壊して再構築せねばと強調。自政権がやってきた事として、インフレ以上の最低賃金引上や小中規模の家庭農奨励、貧困家庭子弟の大学進学や職業訓練校進学、国境なき科学による労働者子弟の留学などを列挙した。
自政権では、金持ちが「空港がバスターミナル並みになった」と言うのを聞き、貧困者も金持ち並みの生活の質の向上を経験し始めたと喜んだ事や、ベロ・オリゾンテやサンパウロ、リオなどが車で満ちているのはあの当時は購買力が増し、車購入などが可能となったからだと語り、17年以降の物価上昇でレアルの価値が3割喪失した事などを批判した。
選挙高裁がボルソナロに反論「暗室なぞない」
ボルソナロ氏や国防省、軍による選挙システム批判については選挙高裁も9日、投票結果を隠しておくための「暗室なぞない」との表現で、州レベルでの開票や軍による並行開票の必要を否定。
選挙高裁は4月27日、昨年提出された選挙システムへの質問や提言を検討して決めた透明性維持のための対策を発表したが、国防省は5日、軍が提出した質問や提言の内容を公開するよう求めた。4月27日に発表したのは軍人らも加わった選挙透明性委員会が決めた対策で、エディソン・ファキン選挙高裁長官は10日、再度の委員会開催を決めた。
9日には、ボルソナロ大統領が19年にブラジル情報庁(Abin)や大統領府安全保障室のアウグスト・エレノ長官らに命じ、選挙システムの攻撃材料を探させていたとの報道があり、10日には、母の日にミシェレ大統領夫人が前倒しの宣伝行為を行ったのが選挙法違反にあたるかの審理の担当者が決まったと報じられた。
ボルソナロ氏はルーラ氏の舌禍が自分への支援になると見ているが、ルーラ氏は7日以降、失言らしい失言を行っていない。国連までがブラジル国内での民主主義攻撃への懸念を表明する中、統一選に向けた闘いは激しさを増していく。
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