《ブラジル》4月に外資流出超76億レアル=世界の新興国から米国還流始まる=「ブラジルは相対的な勝者」

米連邦準備制度理事会のジェローム・パウエル議長(Federalreserve, Public domain, via Wikimedia Commons)

 米FRB(連邦準備制度)が本格的な利上げと量的引き締めを始めることが明らかになり、新興国に流れ込んでいた投機マネーが4月から米国に還流し始めた。3日付ヴァロール・エコノミコ紙や11日付エスタード紙などが報じた。
 ブラジル株式市場は4月、今年初めてとなる76・7億レアルの外資流出超を記録した。前回マイナスとなったのは昨年11月で、20年3月以来で最悪の数字となった。
 3月までは国外からの投資が集まり、1月は233・9億レアル、2月に205・8億レアル、3月も213・5億レアルが投資された。その結果、サンパウロ平均株価指数(Ibovespa)は大幅な上昇を記録。4月1日には今年の最高値の12万1570ポイントを記録しており、レアルは16%上昇した。
 投資家の間でのブラジルへの投資に関する懸念材料は、世界的なインフレと金利上昇、ウクライナ戦争、コモディティの価格動向、世界のサプライチェーンに影響を与える中国のゼロコロナ政策、景気後退のリスクの高まり、中央銀行による金融引き締めなど。中でも、中国のロックダウンでコモディティ価格が1カ月間変動し続けていることが、ブラジルへの投資が疑問視され始めた要因だ。
専門家の間では、ブラジルからの資金流出が今後数カ月間続くかで意見が分かれている。4月にはブラジル株式市場から76・7億レアルが流出したが、その額の比率は少ない。今年の累計はほぼ570億レアルに達し、株式市場全体では黒字なので、「ブラジルは依然として相対的な勝者である」と見る向きもある。
国際金融協会(IIF)の収集したデータによると、4月は先行き不透明感がリスク回避を助長し、新興国全体で40億米ドルの流出を記録した。
 世界的なインフレと欧米の金融引き締めにより、新興国市場から投資が退出することで世界経済の減速が懸念されるが、IIFは「中国を除く新興国からの資本流出を記録したが、過去10年間を振り返れば、最悪の状態からはまだ程遠い」と見る。
 一部の専門家によれば、この不安定性は今後数カ月続くと予想されるが、新興市場はコモディティ価格の上昇に助けられ、回復する可能性があるという。

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