日本語センター=日下野さんが4年間を総括=「父が教師、その血が騒いだ」

日下野良武さん
日下野良武さん

 3月の総会で、ブラジル日本語センター(CBLJ)の理事長の座を矢野敬崇さんに譲って、名誉会長になった日下野良武さん(熊本県、78歳)。任期4年間の感想を聞くと、「父が中高校の国語教師でした。私も70歳を越えてから、急にその血が騒いできて理事長を引き受けました」と答え、「火の国熊本」らしい情熱的な県人気質「肥後もっこす」を彷彿とさせた。
 2018年3月に就任した日下野さん。わずか2か月後の同年5月16日には、日本ブラジル国会議員連盟(麻生太郎会長)から特別講演会に呼ばれて訪日し、ブラジル日系社会における日本語教育について「停滞から衰退の道をたどり始めている」と強い危機感を示し、「日本語教育を恒久的に続けていくには10億円程度が必要だ」と日本政府に支援を訴えた。
 同年11月にも再訪日して講演。翌19年4月にも再々訪日して関係者に根回しをし、『日本語教育の推進に関する法律案』に海外日本語教育を含ませるため精力を傾けた。もともと太かった日本側とのコネクションを存分に活用して、ブラジルの日本語教育のために、強く日本側に働きかけたことは記憶に新しい。
 しかし、それらが成就する前に、残念なことにコロナ禍が発生。この2年間のコロナ禍の影響を尋ねると「コロナ禍前に約350校だった日本語学校は、現在300校ほどに減っているのでは。学習者数も約2万2千人から2万人ぐらいになっているかも。日本語能力試験の受験者は以前約4千人だったが、今年は3500人になっている。とてもキツイ2年間でした」と振り返った。
 そして「大変な2年間でしたが、その間もCBLJの事務局員、日本語教師の皆さんは素晴らしい働きをし続けてくれました。この人たちの支えがあったからこそ、なんとかやってこられました」と関係者への感謝の言葉を繰り返した。
 現在のウクライナ情勢に関して「今だからこそ、日本文化の中にある平和意識、モッタイナイ文化を、日本語教育を通してもっと広める必要性を痛感している」としみじみ語った。

 

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