サンパウロ州防災局が16日、17日から到来とされる本格的な寒波に対する警告を発すると共に、種々の寒さ対策の実施を指示したと16日付アジェンシア・ブラジルなどが報じた。
同州の緊急事態管理センターによると、17日以降の寒波は南極からの大寒気団、南極おろしによるもので、マンチケイラの山間部では最低気温が1度まで下がるとみられていたが、実際には18日朝、零下1度を記録した。
サンパウロ市の最低気温は6度まで下がる見込みで、1990年以来、最も寒い5月となるという。防災局によると、北部のリベイロン・プレット市やサンジョゼ・ド・リオ・プレット市の最低気温は3度と5度と予想されている。南部海岸の最低気温は10度前後の見込みだが、予想される風速は75キロ/時に及び、体感温度はもっと低くなるという。
州政府は各市防災局にも市民への情報提供を強化し、自衛策をとるよう指導する事を求めた。また、路上生活者などのより脆弱な立場にある人達への保護に特別な注意を払う事も要請している。
寒さが厳しい時に起きやすいのは低体温症で、大気が乾燥している事による呼吸器疾患も注意が必要だ。自分では体温調整の必要に気がつきにくい子供や高齢者には特に配慮する必要がある。
また、風邪や肺炎、髄膜炎などの病気を回避する意味で、閉鎖空間や人ごみの回避や、手指の消毒をと呼びかけている。
上着や毛布などの寄付は地下鉄や電車の駅、バスターミナル、ポウパテンポなどで受け付け、必要な人達に届けられる。
サンパウロ市では気温が13度を下回ると路上生活者への寒さ対策と食料確保のための低温オペレーションが強化される。具体的には、市内10カ所にテントを設置してスープや毛布を配布。収容施設の収容人数も増やす。保健局や社会福祉局の職員も増員し、市中央部から収容施設やテントへの移動用の交通手段も増発する。スープや毛布の配布数も例年より増やす予定だ。
同市の収容所の夜間の収容人数は1万5116人で、収容網に組み込まれたホテルでも2138人を収容できる。また、寒さが厳しい期間中は収容人数を2千人増員し、社会教育担当の指導員も56人採用する。彼らは現在活動中の指導員100人と協力し、路上生活者らの保護にあたる。市役所は、ペットを収容できる場所や移動用のかごも用意する予定だ。
テントの設置箇所はグアイアナーゼス、イタケーラ、サンタナ、ヴィラ・マリア、サントアマロ、カペラ・ド・ソコーロ、ラッパ、セー広場、サンタセシリア、ブラスの10カ所で、気温が10度以下になったら設置される。
サンパウロ市役所は15日、5日未明以降に保護された路上生活者は2602人で、収容施設に行くのを断った人も含む対応数は2840件だったと発表した。また、14日午後8時半から15日朝10時までに保護した人は331人、配布された毛布は215枚だったという。ただし、同市の路上生活者は3万2千人とされ、全員を収容するだけの施設は揃っていない。