サンパウロ市のブタンタン研究所が17日、新型コロナウイルスのオミクロン型変異株の新たな亜種が確認されたと発表したと同日付アジェンシア・ブラジルなどが報じた。
新しく確認された亜種は、サンパウロ市東部ペーニャ区在住の59歳の女性から採取したサンプルから検出されたもので、オミクロン株のBA1とBA2と呼ばれる亜種から生まれたXGと呼ばれる亜種だ。
BA1とBA2から生まれた亜種にはXEと呼ばれるものもあるが、変異が生じた場所や内容が異なり、別の亜種とみなされる。XGはデンマークなどで確認されている亜種だが、全世界でも205例しか報告されていない。XGに感染していた患者の旅行歴やワクチン接種履歴は明らかにされていない。
サンパウロ市では3月にXE株への感染者が確認されたが、この患者は外国旅行の経験も外国旅行者との接触歴もなかった。この事はこの時点で既にXE株の市中感染が起きていた事を示している。
また4月には、補強接種を受けていない夫妻が、BA1.1とBA2から生じたXQと呼ばれる亜種に感染していた事が確認されている。この夫妻も旅行歴はなく、発熱と頭痛、のどや体の痛みといった通常の新型コロナ感染症の症状を呈していた。
オミクロン株はアルファ株やベータ株、デルタ株より多くの亜種が発見されている。変異株や亜種は、複数の株や亜種のウイルスに同時に感染した場合に起きる。変異株同士の同時感染で生じたものには、デルタ株とオミクロン株から生じたデルタクロン株(XD)などがある。
サンパウロ市で行われた調査では、同市の成人人口の98・2%は既に、新型コロナウイルスへの抗体を持っている事が確認されている。
だが、専門家はこれまでの調査結果から、新型コロナウイルスに感染した事はあるが、ワクチン接種を受けていないという人はオミクロン株に感染または再感染する可能性が高いと指摘。ワクチン接種を完了しても、補強接種の機会があれば受けるようにも勧めている。
なお、サンパウロ州保健局は17日、新型コロナによる死者が増加傾向にあると警告。16日現在の7日間平均の死者は53人で、2週間前より76%増えているという。新型コロナの感染者や死者は全国レベルでも増加傾向にあり、防疫対策の継続や変異株、亜種への警戒が必要だ。
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