ブラジル日本文化福祉協会(文協、石川レナト会長)の第160回評議員会が4月30日午前、オンライン開催され、パンデミック2年目の会計や活動報告が発表された。困難なパンデミックの中にも関わらず、史料館運営委員会の健闘により、9階改築事業、JICAなどの助成事業による建物改修などが積極的に行われ、収支会計が黒字であったことが報告され、承認された。
評議員30人に加え、理事、監査役がオンライン出席して開催された。冒頭挨拶に立った山下譲二評議員会長は「日本文化を守るためにイベントを推進し、行動している現執行部の努力は大きい」と強調。続いて挨拶に立った石川会長は「活動が継続できたのは各委員会の努力のおかげ」と各委員会の貢献を称賛した。
照屋ウーゴ武次(たけじ)専任理事から、文協全29委員会が21年中に実施した事業の結果報告が行われ、参加者の全会一致で承認された。
大塚ウィルソン会計理事が21年収支を報告。収入は411万3329・45レアル、支出は476万2936・04レで、帳簿上は64万9606・59レの赤字となった。
ただし、減価償却費(Depreciação e Amortização)の計上や、裁判に負けた場合に支払う司法積立金を含む調整額(71万5960・91レアル)の支出差し引きを行った場合の会計は「6万6354・32レアルで黒字」と報告した。
大塚会計理事は「パンデミック2年目であることを考えると、良い結果だったといえる」と総括。山下評議員会長は、21年が好結果になった要因として「経験豊富な世代に加え、さまざまな活動に若者が参加していること」を強調した。決算報告書は、取締役会の全員一致で承認され、閉会となった。
石川会長ら会計詳細を説明
石川会長、大塚会計理事、中島エドアルド事務局長が今月10日、会計の詳細を説明した。
JICAから約100万レのイベント助成を受け、高齢者デイサービス、TVBunkyo、総合美術展、文化祭りなどを実施した。同じく50万レで障害者用トイレなどの文協ビル改修を実施。外務省からも帰国子弟向け「モドリタイ」プロジェクトに7万5千レの支援を受けた。
2020年には移民史料館改修費として約150万レ、21年には約300万レが、日系企業などからPronac(連邦に払うべき税金を文化事業に投資することで代替えする制度)を使って集められた。その集大成として6月22日に移民史料館9階展示の再オープンが予定されている。
同館では昨年4月にインターネットを通じて史料館内を見学できる「バーチャル史料館」の運営を開始し、年末までに5万人がバーチャル見学に訪れた。バーチャル見学者の多くが実際の史料館を訪れたいと考え、現実の来場者も増加した。その結果、昨年から収支が黒字化したという。
またイビラプエラ公園内にある日本文化展示施設「日本館」も改修工事を行い、ミズノやサンリオなどとの企業協賛イベントを実施した結果、来場者が増え、収支が黒字化したという。
文協の会計に関しては「館の付く施設は赤字」と言われてきた。文協関連施設で残る赤字の「館」は国士舘公園だけとなった。石川会長は「国士舘公園も1千本の桜の苗キャンペーンを行った結果、今年は黒字化される見通し」と述べた。
19年に会長就任した石川氏。20年こそコロナ禍で経営は不振だったが、2年目となる21年、続く22年の経営成果は目覚ましい。石川会長は「これも会員の皆様をはじめ、JICAや外務省、多くの日系企業が我々を信用してPronacを使ってくれたおかげ」と感謝した。