リオ・グランデ・ド・スル州カシアス・ド・スル市で1日~15日に開催された聴覚障害者の国際スポーツ大会「デフリンピック」で、ブラジルは銅メダル6個を獲得した。
デフリンピックは1924年に始まり、オリンピックに次ぐ歴史を持つスポーツのマルチイベントだ。第24回目の今回は南米初の大会で、聴覚障害を持つ選手達が5千人以上集まった。
開催国のブラジルからは77カ国中最多の199人が参加し、過去最多となる銅メダル6個を獲得したが、メダル獲得数ランキングでは44位だった。
メダル獲得数1位はウクライナ。ロシアによる祖国侵攻という困難な状況にも関わらず、金62個、銀38個、銅38個の計138個のメダルを獲得した。
ブラジル勢のメダル数に不満を覚える人もいるだろうが、ブラジル聴覚障害者スポーツ連盟(CBDS)は、2年余りのコロナ禍の中、トレーニングにも制限がある中で、数多くの選手が参加し、過去最高の成績を残せた事や、トレーニングセンター建設用地を確保できた事などを肯定的にとらえている。
自国開催を経験し、専用のトレーニングセンター建設という青写真も描ける現状は、今後の活動に向けた大きな力となる事だろう。
また、健常者と障害者の双方から280人ものボランティア協力者の参加を得て国際大会を開催できたという経験は、国民にとって大きな遺産となる。
今大会のバレーボールのブラジル代表選手のトリビオ・マラゴディ氏は、ボランティアとしての奉仕活動にも参加した。勝利への情熱と他者支援への願いを両立したマラゴディ氏は稀なケースかも知れないが、全ての選手、全てのボランティア、全ての奉仕者は皆、それぞれの場所での勝利者といっても間違いではないだろう。
今大会では、困難に直面するウクライナの選手達を欧米諸国が支援する場面や、ウクライナ侵攻でロシアとベラルーシの選手約600人が除外されるというトラブルもあった。大会期間中に試合経過や成績などを記事として伝える機会を作れなかったことが悔やまれる。参加者や支援者一人一人がかけがえのない宝を得た大会だったと信じたい。(み)