ブラジル南東部ミナス州のベロ・オリゾンテ市で19日、低所得で結婚式を挙げられないという人達を対象とする集団結婚式が行われ、169組が参加したと同日付アジェンシア・ブラジルなどが報じた。
集団結婚式を開催したのは同州司法支援局で、今回は5回目。新型コロナのパンデミックのせいで2年間中断していたが、ワクチン接種の進展などでコロナ禍が沈静化し始めた事で復活した。
集団結婚式に参加したのは経済力がなくて正式な結婚ができないという人達で、招待者数が制限され、ケーキは形だけといった点を除けば、ウエディングドレスと黒の背広で正装し、ウエディングマーチにあわせて赤いカーペットの上を行進し、他の参加者からの拍手や祝福を受けた後、指輪の交換や誓約を行い、招待者と喜びを分かち合うという、通常の結婚式同様の経験をする事ができる。
式場となったミナスセンターには着替えや化粧をするスペースが確保され、式の前後には写真を撮影する時間もある。また、くじに当たった夫婦には、家電製品や食料品セットなどのプレゼントも用意されている。プレゼントの中には、ベロ・オリゾンテ市内のホテルでの宿泊券や宝石、パイ、スポーツジムやマッサージを3カ月間利用できるクーポン券などもあるという。
初回の式以来、総計8千人近くが公に結婚式を挙げ、正式な結婚登録や結婚証明書の取得もできた。
正式な結婚登録は、恩給や各種の支援金の受給、遺産相続などにも不可欠だ。だがブラジルでは貧困故に結婚式はおろか、結婚登録もできていないという人が相当数いる。登記所での結婚式では、互いが未婚者または離婚者である事を確認するための調査費用や結婚登録や結婚証明書発行などの必要経費を払う必要があるからだ。
そのため、集団結婚式への参加者は、結婚式を行うための経費を払えない事を証明し、登記所での結婚を行うには収入が不足していると宣言する書類に署名する必要がある。
ミナス州の場合、登記所での結婚に必要な最低経費は297・17レアル(約7690円)。ただしこの金額には公告や和解公表その他の経費は含まれていない。