保健省が4月22日に出した新型コロナの非常事態解除の省令は来週から発効するが、大前提のワクチン接種進展による感染状況沈静化が揺らぎかねない事態が生じていると19~20日付現地サイトが報じている。
それは、19日発表のオズワルド・クルス財団(Fiocruz)の新型コロナに関する観察報告書にある、ワクチン接種の進展停滞化だ。14日現在の数字によると、25歳以上での初回接種率が80%超の連邦自治体は14、2回目の接種率が70%超は18だ。
2度の接種終了かヤンセン社製ワクチン1回接種の接種完了者は8割に達したが、55~59歳の完了者は63・9%、50~54歳は57・9%、45~49歳は52・8%と低下する。40~44歳からは50%を割り、18~19歳は25・2%だという。
また、65歳以上への補強接種は80%を超えたが、80歳以上への2回目の補強接種は17%と補強接種も停滞気味。5~11歳の子供への初回接種は60%、接種完了は32%だ。接種率は地域差も大きい。
報告書では、接種率の低い地域や抗体を失いやすい人を中心に接種や補強接種を拡大すれば死亡率や入院率を下げられるとしている。だが、現状は高齢者の入院率は成人より高く、既存ワクチンで生じる抗体で防げない変異株出現の可能性もある。
これらの懸念に輪をかけているのが、マスク着用や接種証明提示などの防疫対策緩和の動きだ。これらの対策が緩和されれば予防接種は唯一の効果的な感染拡大予防策となる。予防接種の有効性は、4月24日~5月14日の3週間の感染者の平均は1万6千人/日前後、死者の平均は100人/日前後で、致死率が約0・7%に下がっている事からも明らかだ。
だが、この間の感染者は3週連続で前週比増を記録。1人の感染者から感染する人の数を示すRtは1を超え、感染拡大傾向にある。死者も1~7日が前週比減となった他は前週比増で、15日以降の7日間平均は110人台に増えた。
入院者数増や検査での陽性率上昇などで、20日には「第4の波」発生の可能性を警告する報道も流れ始めた。