《サンパウロ州》波にさらわれた女性生還=皆が死んだと判断した後

奇跡の生還を遂げたプリシラさんと消防士達(20日付G1サイトの記事の一部)

 サンパウロ州海岸部のペルイベで17日、海辺を歩いていた女性が高波にさらわれ、捜索の消防隊や家族も「もう死んだに違いない」と判断したのに、奇跡的に生還するという事件が起きたと19、20日付G1サイトなどが報じた。
 プリシラ・ペレイラ・ダ・シルヴァさん(46)は健康維持のため、友人と共にひざ位までの水に浸かりながら砂浜を歩く事を日課にしている。
 だが、17日朝7時頃、いつものように友人と歩いていた時、海が荒れ、押し寄せた波で胸の高さまで水に浸かった。慌てた二人が陸に向かおうとした時、次の波が来て、完全に水をかぶってしまったという。
 友人は必死に泳いで砂浜にたどり着いたが、泳ぐ事も知らないプリシラさんは沖に流された。
 友人の通報で消防の救命士達が駆けつけ、プリシラさんの捜索にあたったが、見つけられないまま数時間が過ぎ、消防も家族や友人も「プリシラさんは亡くなった」と考え、弔意を伝えるメッセージのやり取りも始まっていた。
 だが、プリシラさんは唯一知っている犬掻きと疲れたら水に浮くのを繰り返している内に岩があるのをみつけ、犬掻きで接近を試みた。だが、もう少しで岩に登れると思った時に別の波が来て岩に打ち付けられ、足などに怪我をした。
 それでも岩に登ったプリシラさんは日の光で温まる事ができた。また、岩の頂上から救命士達が自分を探しているのを見つけ、立ち上がって助けをもとめようとしたが、そこに大きな波が来て、再び海に落ちたという。
 この時は流石に死も覚悟したが、亡き母に「自分を捨てないで」「私の娘を見捨てないで」と叫んだという。
 プリシラさんはその後も波に流されたが、より遠い所にあった岩に上る事ができ、地元の人達の散策用の道があるのに気づいた。消防士達からは遠い場所に流された事に気づいていたプリシラさんは、陸路をたどる事を決めた。
 どれ位経ったかも分からず、寒さに身を震わせながら歩く内、グアラウと呼ばれる幹線道のはたにたどり着いたプリシラさんは通りがかった車に助けを求めた。
 それは波にのまれてから約9時間後の午後4時頃で、通りかかった車を運転していたのはプリシラさんの知人のファビア・マルチンス・ド・ナシメントさん(36)だった。
 泣きながら助けを求めた女性がプリシラさんだと気がついたファビアさんは、大急ぎで車を停めて彼女を乗せると、喜びの涙にくれながら抱擁を交わしたという。
 プリシラさんを乗せたファビアさんは大急ぎで彼女の家に向かった。プリシラさんの自宅には彼女が波にさらわれた時に一緒にいた友人もおり、プリシラさんや家族と共に無事生還を喜んだ。
 消防によると、通常の捜索は失踪箇所から300メートル程度の範囲で行われ、プリシラさんのように泳げない人が数キロ先まで流されて無事に生還できたのは奇跡だという。
 プリシラさんやその家族、友人、消防士達は奇跡的な生還に驚くと共に、喜びを分かち合ったという。

最新記事