24日、リオ市北部のファヴェーラ、ヴィラ・クルゼイロで軍警特殊作戦実行部隊(BOPE)などによる犯罪組織捜査が行われ、一般市民も含めて25人が死亡した。死者からは不審点が浮上し、警察による粛清が疑われている。同市では昨年5月にもジャカレジーニョ地区で28人が惨殺され、国際問題になったばかりで、波紋を広げている。24、25日付現地紙、サイトが報じている。
今回の作戦は24日午前4時頃始まった。同日未明に諜報部から犯罪者たちが別の地区に移動し始めたとの情報が入り、逮捕令状もないままで乗り込んだ警官たちが犯罪者から銃撃され、激しい銃撃戦が展開されたのだ。
捜査対象となっていたのはコマンド・ヴェルメーリョ(CV)の首領らや、市内及び全国から来て同地区に隠れていた50人以上の麻薬取引犯だ。彼らが隊列を組んで雑木林を進み、南部ロッシーニャのファヴェーラに向かおうとしていたため、緊急作戦が発動された。捜査には軍警80人と連邦道路警察26人、連邦警察の他、ヘリコプターや防弾車も動員された。
同作戦では多くの犯罪者が銃弾を浴びた。また、マシンガン13丁と手榴弾12個、拳銃4丁、大量の麻薬が押収され、盗難車両(車10台、バイク20台)が回収された。
死者の大半は犯罪者だが、ガブリエレ・フェレイラ・デ・クーニャさん(41)は隣接地区の自宅で流れ弾を受けて即死した。
今回の死者数25人は、リオ警察による歴代捜査でワースト3位だ。ボルソナロ大統領は作戦後、「BOPEとリオ軍警の諸君、おめでとう。これまでも20カ所以上の麻薬犯罪で名高い辺境地を、銃撃戦を通じて犯罪組織の首領たちから守ってくれている」と語り、褒め称えた。
警察関係者には以前から「良い犯罪者は死んだ犯罪者(Bandido bom é bandido morto)」という考え方をするグループがあり、リオでは特にその傾向が強いと言われる。6年前の調査では、国民の6割がその考え方に賛同していた。
だが今回、近隣住民は否定的にとらえている。同日午後、22の社会団体がリオ警察の前で同作戦への抗議の声を上げた。死者の中にはナイフで刺された人が含まれていたり、負傷したと家族に連絡していた人もいたなどの証言があり、今回の殺戮が銃撃戦による正当防衛ではなく、警察による粛清行為との疑惑が深まっているためだ。亡くなった犯罪者たちから連絡を受けていた遺族らは「怖くて近づけなかった」と語っている。
昨年5月6日に同市ジャカレジーニョ地区で28人の死者が出た捜査では、腕を切断したり目をくりぬくなどの不要な行為の痕跡が見られ、警官の報復行為と見なされて社会問題化し、国連からも批判を浴びる事態となった。それから1年、2月に起きた8人死亡の捜査からは3カ月で今回の事件となった。
こうした事情から、連邦検察庁とリオ州検察局は今回の作戦の真相解明のため、捜査に乗り出す構えでいる。同州ではクラウジオ・カストロ氏(自由党・PL)の知事就任後の1年間で集団殺人(警察による粛清)が39件起き、181人が死亡するなど、数の多さが問題視されている。
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