【パラグアイ・ビジネス・ニュース5月7日号】セントロのはずれ、エスパーニャ通りに、パラグアイの先住民族の文化や歴史に焦点を当てた民族博物館があるのをご存じだろうか。コロニア時代以前のパラグアイの民俗文化を窺い知ることができる、貴重な展示品は見応えがある。
近代化が進む都市部では、パラグアイの風土や元来の文化を私たちが目にする機会はあまりない。観光ガイドにフューチャーされることのない民俗文化博物館を、今回は紹介したい。
アンドレス・バルベロ民族博物館は、1933年に開館したパラグアイの民俗学および古学博物館である。1929年に学者の Andrés Barbero 氏がパラグアイ科学協会に要請し、設立されることとなった。
34年から46年には、パラグアイの歴史やチャコの先住民族研究を行っていたマックス・シュミット博士が館長を務めている。
両氏の死後、一時的に閉館となったが、1952年、ブラニスラヴァ・サスニック氏が博物館を引き継ぎ、チャコの研究ツアーを経てコレクションを増やし、1956年に現在のエスパーニャ通りに移転オープンした。
パラグアイで最も重要な考古学、民俗学のコレクションが所蔵されていると国外からは評価を受けているが、国内で足を運んだという人はおそらく少ないだろう。館内にはパラグアイのさまざまな先住民族の文化装飾品や生活品が展示されており、現在私たちが街で見かける伝統工芸とは全く異なる文化を目の当たりにできる。
グアラニー族はもちろんのこと、マタガヨ-グアイクル語族に属するチャケーニョと呼ばれるチャコ地方の先住民族についての資料も閲覧できる。パラグアイの多くの人がグアラニー語を理解するのに対し、チャケーニョの話すマタコ語を理解できる人は非常に少ない。
しかし、チャケーニョ族が暮らす地域はグアラニー族よりも広い。現在のパラグアイを構成する民族について、改めて考えさせられる。
各部族のテキスタイルの紋様や、羽細工や人毛を使ったアクセサリー、竹細工、楽器、武器など、どれも美しくて驚かされる。私たちが知っている回転率を重視した安っぽい工芸品とはレベルが全く違う。
決して保存状態がいいと言えないものも多くあるが、観覧の価値は高い。アートミュージアムの芸術作品でも、土着の生きる文化が生む躍動や知恵と美には敵わないだろう。
7年間パラグアイで暮らしても感じることができなかった、この国の土着の古い民俗文化。植民地支配と独裁政権の爪痕はこれほどまでに深いものかと、恐怖すら抱いていた。
この博物館で初めて、パラグアイに根付いた歴史的な文化や美意識を感じることができた気がする。一人でも多くの人に知っていただきたい場所である。(出典=PBNサイトhttp://pybiznews.wix.com/paraguay-biz-news)
アンドレス・バルベロ民族博物館
http://www.museobarbero.org.py/
住所 Av. España 217, Asunción
電話番号 +595 981677131