「時代の寵児」になり損ねたドリア

ドリア氏(Valter Cmpanato/Agencia Brasil)
ドリア氏(Valter Cmpanato/Agencia Brasil)

 ジョアン・ドリア前聖州知事が民主社会党(PSDB)の大統領候補を辞退した。2016年に実業界から華々しく政界に進出した同氏にとって、大きな挫折となった。
 6年前の聖市市長選で、前任のフェルナンド・ハダジ氏を一次選挙で破って圧勝してしばらくのフィーバーは「次期大統領」を思わせるものだった。あの当時はまだボルソナロ氏の台頭も一部に限られたもので、メディアの注目はドリア氏に集まっていた。「実業家から転身」の点で、当時米国大統領に就任して間もなかったドナルド・トランプ氏とも比較されていたものだった。今となっては懐かしい話だ。
 今回の件について、選挙権のある妻の一言が印象的だったので紹介させて欲しい。彼女はまさに2016年の際にドリア氏に票を入れていたが、「2つの理由で、彼は私の票を失った」と語っている。
 ひとつは「任期も終えずに市長の座を降りた」こと。この点に関して伯国民はかなり厳しい。二期目でそれをやるのならともなく、1期目の任期も終えていないうちから、自分の立身出世を優先する姿は市民をバカにしているように映るという。
 そして、もうひとつが「ボルソドリア」。彼女にとってはこれが決定的だったという。「ボルソドリア」は

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