政党ウニオン・ブラジルのサンパウロ州支部が、知事選で本来支持することになっているロドリゴ・ガルシア現知事(民主社会党・PSDB)ではなく、セルジオ・モロ氏を擁立したいとの意向を表明し、物議を醸している。5月31日付現地紙、サイトが報じている。
これは、サンパウロ州選出下議でウニオンのサンパウロ州支部副支部長のジュニオル・ボゼッラ氏が語ったもの。5月30日付のサイト「メトロポレス」によると、同党サンパウロ州支部はモロ氏をサンパウロ州知事に擁立する方向で意見がまとまっているという。同氏はさらに、モロ氏の妻のロザンジェラ氏を下議選に出馬させたいとの意向も語っている。
だが、ウニオン内部でも「寝耳に水」だったという発言が漏れると、ボゼッラ氏は「私たちはガルシア氏を支持する」というビデオを作って発表した。だがその際、「ガルシア氏に対して悪い思いは抱いていない」としながらも、「これはPSDBのことではなく、ウニオンのこと」として、モロ氏のサンパウロ州知事選出馬の可能性を党首のルシアノ・ビバール氏に問いたいとの意向も明らかにした。
この背景には、ガルシア氏が大統領選でビバール氏とシモーネ・テベテ氏(民主運動・MDB)のどちらを支持するかの選択を迫られていることがある。現状では、PSDBがMDB、シダダニアと組んだ連立候補のテベテ氏を推すと予想されている。
ウニオンは当初、MDBやPSDBと連立を組んで大統領選候補を出す予定だったが、一部の勢力がモロ氏を前党のポデモスから強引に移籍させ、候補にしようとした。
だが、党内の過半数から反対されて却下。結局ウニオンは連立から離れ、ビバール氏を大統領選候補として立てたが、支持率が1%に届かないなど苦戦している。
モロ氏はラヴァ・ジャット作戦の担当判事時代に国民的な人気を獲得し、大統領選の世論調査でもシロ・ゴメス氏(民主労働党・PDT)と並ぶ10%に近い支持で3位争いもしていたが、反感も強い。特に、政界では政治家としての経験不足を指摘する声も小さくなく、ウニオン内では前身党の一つの民主党(DEM)党首だったACMネット現ウニオン幹事長から選挙公約を酷評されていた。
モロ氏はサンパウロ州での上議選出馬が予定されているが、ここでの争いも楽ではない。パラナ・ペスキーザの上議選の世論調査では、ニュースキャスターのダテナ氏(キリスト教社会党・PSC)が22・3%で首位、モロ氏は16・5%で2位。3位は知事選出馬を希望しているマルシオ・フランサ氏(ブラジル社会党・PSB)が13・2%の支持を獲得。フランサ氏は、知事選を支持率1位のフェルナンド・ハダジ氏(労働者党・PT)に譲り、大統領選支持率1位のルーラ氏の支持を上院選で受ければまだ伸び代があるなど、モロ氏には厳しい状況になっていた。
一方、ウニオン内部も、大統領選でビバール氏が出馬を表明しているのに、ボルソナロ氏を支持することを許容するなど、党の統制がとれていない。