世界救世教=大祭控えるグァラピランガ聖地=啓示実現の神殿、敷地には花々=ブラジル内信徒数は約60万人

巨大な16本の大柱で構成されている円形の神殿
巨大な16本の大柱で構成されている円形の神殿

 世界救世教ブラジル宣教本部(宮道マルコ・レゼンデ本部長)が管轄するグァラピランガ聖地(Solo Sagrado)をこのほど、訪問する機会を得た。以前から写真を見て個人的にも行ってみたいと思っていたが、写真と実物とでは大違い。案内してもらった同教団元評議員の大野正人(まさひと)さん(75、香川県出身)が「実際に来てみないと分からない」と言う通り、現地を訪れてその神々しさと壮大さに圧倒された。(松本浩治記者)

 1935年に故・岡田茂吉師によって日本で設立された世界救世教は、55年からブラジルで本格的な布教を開始。現在、「研修センター」と呼ばれる布教拠点は全伯で550カ所に及び、ブラジル内だけで約60万人の信徒がいる。
 グァラピランガ聖地は、74年に土地を購入し、95年11月に完成した。巨大な16本の大柱で構成されている円形の神殿は、完成当時本部長だった渡辺哲男師(故人)が夢で見た啓示を実現させたものだという。
 神からの啓示を頂いた記念日として毎年6月15日直前の日曜日(今年は6月12日)に開催される「大祭」と、毎月第1日曜日の「月次(つきなみ)祭」にはブラジルをはじめ、世界各国から約1万~2万人の信徒が一堂に会する。聖地の総面積は380ヘクタールと広大で、施設内には季節の花々が一年中咲き誇り、自然農法による作物が栽培されている。
 救世教の活動の3大柱は(1)浄霊(2)自然農法(3)美術による救いの3点。評議員時代に聖地建設に関わってきた大野さんは、「聖地は自分にとって命の一部」と言い、完成した現在の聖地は「渡辺(哲男師)の作品」と強調する。
 聖地の内部は渡辺師のアイデアで人工の滝も設置されている。また、円形の神殿に向かう階段の両側にはベゴニア、マリーゴールドなど7色の花壇が設置されており、地上と天国をつなぐ「虹の階段」と称されている。

神殿方向から望むグァラピランガ湖
神殿方向から望むグァラピランガ湖

 記者が訪問したのは、5月17日。聖地では、植樹と自然農法担当者の太田裕司(ひろし)さん(55歳、岐阜県出身)らスタッフが出迎えてくれた。太田さんによると、6月の「大祭」を前に花壇など施設内の整備に余念がないようで、約50人いる造園管理スタッフが常時働いているほか、週末には信徒ら約600人が集まりボランティアで施設内を清掃しているという。また、敷地内の別の場所では、花壇用の苗を栽培する専用の場所もあり、種類別に栽培されている様は、アグロビジネスを彷彿とさせるほどの規模だ。
 太田さんは「そうした信徒の方々の奉仕活動が大きな支えとなっています」と話し、信徒があってこその聖地だと実感する。
 大野さんの説明では、御神体が安置されている円形の神殿は、教祖様(故・岡田茂吉師=明主様(めいしゅさま))の生誕日である12月23日に太陽光が真上から差すように設計されているという。「輪の中心に神を頂くことで最高神を祀り、神様との和、自然との和、世界とブラジルとの和、夫婦の和、男女の和など幸せな人生を送ることができる」と聖地の意義を説く。
 敷地内には、自然農法による各種野菜類が栽培され、ブラジルをはじめ各国から訪問する信徒のための研修施設(食堂、宿泊施設も含む)もある。さらに、明主様の歴史を振り返る文化センターもあり、自筆の書や水墨画なども展示されている。また、グァラピランガ湖から吹き上がってくる自然の風が心地よく、聖地の高台から望む絶景が来訪者の心と体を癒してくれる。
 コロナ禍以前は毎月第4周目の平日に一般の来場(入場無料)も受け付けていたが、現在は一般の来場は受け付けていない。今後、サンパウロ市との調整を行った上で、状況に応じて一般への開放の時期を検討している。
 グァラピランガ聖地に関する問い合わせは、世界救世教(電話:11・5970・1000/Eメール:http://atendimento@solosagrado.org.br/サイト:www.solosagrado.org.br)まで。

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