米国のバイデン大統領とボルソナロ大統領が来週、初の会談を行う予定だ。米州首脳会議の間に行われるもので、ブラジル大統領に民主主義や環境問題の順守合意を求めていることが明らかになった。2日付現地紙などが報じている。
首脳会談が持たれることは、ブラジルの外務省と米国政府の双方が認めている。G1サイトなどによると、会談は来週の6日から10日までロサンゼルスで開かれる米州首脳会議の一環として行われる。伯米首脳が会談を行うのは21年1月のバイデン氏の大統領就任以来、初めてのこと。
米国のラ米問題担当のフアン・ゴンザレス氏や外務省米州局長のペドロ・ミゲル・ダ・コスタ氏によると、米州首脳会談では民主主義や環境問題、人権問題に関する文書に米州首脳たちが調印する予定で、ボルソナロ氏も署名するよう求められているという。
ここでいう「民主主義」とは、選挙結果の尊重を含んでいる。ブラジルでは10月に大統領選を含む統一選挙が行われるが、これまで20年以上にわたって不正が確認されてきていないブラジルでの電子投票をボルソナロ大統領が疑い続けていることは、国際的にも報道されている。
米国では、2020年の大統領選で敗れたトランプ前大統領が敗北を認めず、証明さえできない不正を主張し続けた上に、21年1月6日にはトランプ支持者たちが連邦議事堂を襲撃する事件まで起こった。現在も国民の3分の1は不正があったと信じているとされることから、バイデン氏は選挙に関してはとりわけ神経質になっているという。
ボルソナロ氏はトランプ氏の信奉者として知られており、電子投票を疑い続ける発言に関しても、トランプ氏からの強い影響を指摘されている。
ゴンザレス氏はこの件に関し、「ブラジルの選挙を信じている」と語り、コスタ氏も「米国から信頼を得ている」「ブラジルが選挙に関して国際的なブラックリストに乗ったことはない」と主張している。だが、米国政府関係者がブラジルの今年の選挙に懸念を示す発言は既に複数報じられており、5月には欧州連合がブラジルの選挙の監視を行うのではないかとの説も実際に流れている。
ボルソナロ氏は環境問題に関しても、国際舞台では「二酸化炭素ガス排出制限の目標を守る」と約束しつつ、国内での森林伐採は増え続けている上、「アマゾンのことで諸外国には口出しさせない」と主張するなどして国際的に問題となっている。そうした姿勢はバイデン氏もかねてから問題視している。
また、人権問題に関しても、このところリオ市ヴィラ・クルゼイロでの警官による粛清疑惑や、セルジッペ州で起きた黒人障害者のジェニヴァウド・サントスさんのガス窒息死など、警察による暴力が国際問題化している最中だ。これらの事件でも、ボルソナロ氏は警察を擁護する発言を繰り返している。
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