《ブラジル》「第2のジョージ・フロイド事件」下院委員会が法務相を召喚=上院は現地に議員団を派遣

下院が法務相召喚を決めたと報じる1日付G1サイトの記事の一部

 【既報関連】5月25日にセルジッペ州で起きた、黒人で障害のあるジェニヴァウド・デ・ジェズス・サントス氏(38)が連邦道路警察(PRF)の警察車両内で窒息死させられた事件を受け、下院の人権委員会が1日、法務相を召喚し、詳細な説明を受ける事にしたと同日付現地サイトが報じた。
 この事件は「第2のジョージ・フロイド事件」とも呼ばれ、世界中が知るところとなった。現在はPRFと連邦警察、連邦検察庁が捜査を行っているが、事態を重く見た連邦議会も人権委員会が調査に乗り出している。
 下院人権委員会は事件直後から、アンデルソン・トレス法務相の召喚を行うかの審議を含め、具体的な調査方法を探っていた。1日の委員会での投票の結果、10対7で法務相召喚を決めた。今回は招待ではなく、出席を義務付ける召喚で、人権委員会がこの事件を重く受け止めている事を明らかにした。
 上院の委員会も1日、13~14日に州都アラカジュー市と事件が起きたウンバウーバ市に議員団を送り、連警などによる捜査に同伴して調査を行う事を承認した。
 ジェニヴァウド氏は精神障害も持つ黒人男性で、ヘルメットをかぶらずにバイクを運転していたため、3人のPRF警官から職務質問を受けたが、警官の手を振り払った行為が抵抗とみなされ、3人がかりで暴行後、手足を縛られ、警察車両に入れられた。
 警官達は同氏の甥から精神障害がある事などの説明も受けたが、同氏を入れたトランクに大量の催涙ガスを流し込んだため、窒息死してしまった。
 5月31日にはPRFのジェアン・コエーリョ副長官と諜報部のアラン・ダ・モッタ・レベロ部長が解任されたが、人権委員会はそれだけで納得できず、統括責任者の法務相の召喚や現地での調査を行う事を決めた。
 なお、上院は遺族に100万レアル(約2707万円)の賠償金を支払う事も提案している。

★2022年6月2日《ブラジル記者コラム》「第2のフロイド事件」と拒否権=他者の弱さ認め、寄り添えるか
★2022年5月31日《ブラジル》警察暴力で黒人精神障害者を窒息死=英国紙「第2のジョージ・フロイド」=国際的な人権問題に発展

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