世界環境デーを5日に控え、法定アマゾンの森林火災が増え、5月としては2004年以来の火災月となったという喜べないデータが発表されたと2日付現地サイトが報じた。
国立宇宙研究所(Inpe)によると、5月の火災件数は2287件で、昨年同月の1166件を96%上回り、3131件だった2004年に次ぐものとなった。1~5月の累計は4971件で、昨年同期比で22%増えている。
セラードでも昨年同月より35%多く、5月としては、1998年6月の統計開始以来最多の3578件の火災が起きた。
専門家は、通常の森林火災のピークは8~9月だが、今年は5月の時点でこれだけの火災が起きており、破壊的な年になる可能性が高いと懸念の声を上げている。法定アマゾンなどで起きた森林火災は、自然発火などの山火事ではなく、不法な森林伐採後に火を放ち、農牧用地を開発するためのものが大半だという。
懸念されるのは火災だけではなく、Inpeは先月も、4月のアマゾンでの伐採面積は1013平方キロで、昨年同月より74・6%増えたとの報告を出している。
例年なら雨季には増えない森林伐採が増えている事や森林火災が急増している事は、選挙年には監視がおろそかになり、森林伐採が増えると指摘されていた事が今年も起きている証拠といえる。
ボルソナロ政権では森林伐採、森林火災が増え、現政権に対する国際的な批判が高まり、森林保護への国際的な支援の停滞も招いている。それだけに、今回の結果は選挙年である以上に重要な意味がある。来週開催される米州首脳会議では環境問題も議題にあがる事が必至で、さらに批判を高めうるデータが公表された事になる。
非政府団体のSOSマッタ・アトランチカも先週、昨年の大西洋岸森林(マッタ・アトランチカ)での森林伐採面積は前年比で66%増えたとの報告を行っている。
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