スポーツ交流で生徒ら笑顔=聖南西地区青空スポーツ教室

タグラグビーを行う生徒たち
タグラグビーを行う生徒たち

 聖南西教育研究会主催の『第23回聖南西青空スポーツ教室』が5月28日、ピラール・ド・スール文化体育協会グランドで3年ぶりに開催された。同イベントは、同地区日本語学校のスポーツ好きな12~17歳の生徒を対象に、スポーツを通して他校の生徒と交流を図る目的で年に1回行われている。今年は地区内のコロニア・ピニャール、ピエダーデ、レジストロ、ピラール・ド・スール、カッポン・ボニート、ソロカバ、サンミゲル・アルカンジョの7校から32人の生徒が集まった。
 午前9時半に始まったスポーツ教室では、担当教師が「今日このような行事に参加できるのも、おいしいカフェを用意してくれているピラール・ド・スール日本語学校の母の会のお母さんたち、またここに連れてきてくれた先生達やお弁当を作ってくれた親や家族がいてこそ。その人達への感謝の気持ちを持ち、今日たくさんの友達をつくって楽しい1日を過ごすことで恩返しをしてください」と挨拶した。
 参加者は『聖南西日本語学校』という同じ学校の仲間という考えのもと一人ずつ名前を呼び、出席を取った。最後に「よろしくお願いします」と挨拶してこの日の活動が始まった。
 午前中は、体育館で『ペアづくり』や『鬼ごっこ』など様々な生徒と触れ合うことができる活動を実施。その後、男女別でチームに分かれ、相手チームの各選手の腰につけたタグをとり合う『タグ取り』を行った。

参加者全員で跳んだ長なわとび
参加者全員で跳んだ長なわとび

 午後は、この日のメインスポーツである『タグラグビー』大会を実施。普段、陸上部やスポーツ活動をして運動に慣れ親しんでいる生徒もいれば、あまりしていない生徒も少なくなかったが、皆終始激しくプレーを続け、一生懸命試合に打ち込む生徒たちの姿が見られた。
 大会終了後は疲労している生徒も多かったが、体育館に移ってサブスポーツの『長なわとび』の時間になると、元気を回復して取り組み、2人や3人ずつ息を合わせて一緒に跳んだり、最後は32人全員で一緒に跳んだりし、うまく跳べても失敗しても、声をあげながら笑顔で楽しんだ。
 ソロカバ日本語学校の長谷川美雪教諭は「日本語学校に通って良かったと思ってくれる生徒たちは、こういった行事に参加する子どもたちが多い。そして行事を通して、学ぶこと、成長することがたくさんあると思う。ただ行事をするにはどうしても多くの方の協力が必要になるので、行事だけに限らず、『教育』というのは『文協(機関)・保護者・教師』の連携が実に重要となってくると思う」と行事活動が生徒に及ぼす教育効果とその重要性、周囲の協力の必要性を述べた。
 午後3時半過ぎに記念撮影をし、全プログラムが終了。終日運動し続けた生徒の顔には、疲労感よりも充実感溢れる元気な笑顔が広がっており、会館でカフェをとっている間も、会館内で『長なわとび』を楽しむ輪が自然にでき、自主的に交流をする姿が見られた。
 レジストロ日本語学校から2時間半かけて生徒を引率した吉田千鶴子教諭は「当校からの参加生徒は1人だけで、明日はピンポン大会やバレーボールがあるけど、それでも今日参加して皆と楽しんでいてよかった」と喜び、サンミゲル・アルカンジョ日本語学校の志方倫子教諭は「助手や何人かの保護者が引率に来るので休んでいいと言われたけど、やっぱり…」と生徒を見守りたいという親心や責任感がうかがえた。
 ソロカバ日本語学校から今年初めて参加し、1日活動を見ていた生徒の母親は、「サンパウロ南西の子供たちは皆元気にわいわいできるのがとてもいい。娘が友達の誕生日会に行っても、皆座ってしゃべるぐらいで、『遊ぶ』ということをしないし、同い年の友達でも、もうお化粧をしたりしていて、子どもという時間を満喫せずにいる」と地区の日本語学校の交流行事ならではの良さを感じ取っていた。

 

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