ブラジル外務省が9日、ブラジル人のアンドレー・ルイス・ハッキ・バヒ氏(44)がウクライナで戦死したと発表したと同日付アジェンシア・ブラジルなどが報じた。
アンドレー氏はリオ・グランデ・ド・スル州ポルト・アレグレの出身で、ブラジル国軍兵士としての経験がロシアによる侵攻で苦しんでいるウクライナの人達を助けるのに役立つと考え、2月にウクライナに渡った。
現地では、ウクライナの領土防衛国際部隊の一員として銃を手に取り、ブラジル国内の家族にも、「ウクライナが勝利を収めるまでは帰らない」と伝えていた。
外務省が現地の大使館から得た情報によると、アンドレー氏が戦死したのは4日だという。同氏同様にウクライナにいる友人が5日にSNSにあげた、同氏が戦死したという情報を見たブラジル国内の家族が、消息を確かめようとしているという報道は6日から流れており、外務省も現地に問い合わせていた。
死亡が確認できたという連絡を外務省が受け取ったのは9日で、同省はこれからも遺族と密接に連絡を取り、可能な限りの支援を行う事を約束した。
ロシアによるウクライナ侵攻は3日に100日を数えたが、いまだに終わりが見えていない。
アンドレー氏の父親のモーツァルト・ピント・バヒ氏(78)は、「あいつは向こうに着いて以来ずっと、『人々を救うという確信がある』と言い続けていた」と語った。
姉妹の一人のレチシア氏は「ウクライナの人達のために戦って亡くなった兄弟の事を誇らしく思う」とし、アンドレー氏の事を「戦場の英雄」と呼んだ。
アンドレー氏はウクライナ行きを決めた時、セアラー州キシャダーに住んでいたが、7人の子供と妻を連れて行く事は望まず、離婚した上でウクライナに行ったという。
レチシア氏によると、遺体を受け取るためには、誰かがウクライナまで行き、身元を確認する必要があるという。遺体を引き取った後は火葬にし、灰を持ち帰る予定だが、その灰はポルト・アレグレではなく、本人が愛したキシャダーに持って行って撒くという。
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