《ブラジル》約3310万人が食糧不足=コロナ禍で状況悪化に拍車=総人口の約16%、1990年代初期に逆戻り

2年間で食に窮する人がほぼ倍増と報じる8日付G1サイトの記事の一部

 食品と栄養の主権と安全保障に関するブラジルの研究ネットワーク(Rede PENSSAN)が8日、ブラジルでは約3310万人(総人口の約16%)が食に窮していると発表したと8、9日付現地紙、サイトが報じた。
 同ネットワークは新型コロナのパンデミックで生じた食の貧困や飢餓についての調査を行っており、今回の発表は昨年4月に続く2回目だ。
 初回の発表では、2020年に食に窮していた人は約1900万人で、1030万人とされていた2018年より約900万人増えたとされていた。
 だが、昨年の11月から今年の4月にかけて行われた調査では、食に窮している人は昨年よりも1400万人余り多い、3310万人と報告された。
 同ネットワークは、全国577市の市街地と農村部の家庭、1万2745世帯で聞き取り調査を行った。同調査は、地理統計院(IMGE)でも使っている食糧不安の全国指標(Ebia)を利用している。
 Ebiaでは、他の生活必需なものへのアクセスを損なわずに十分な量と質の食品を入手できるかを調べ、軽度、中度、重度に分類する。軽度は食事の量や質が低下し、今後食べる食品が入手できるかにも不安がある場合で、中度は大人の間で食事の量や質が落ちている場合。重度だと、子供の食事の量や質も落ちて、家族全体が飢えた状態になる。
 調査では、北部や北東部を中心に58・7%が食の貧困に直面している事が判明。食の貧困者は2020年より7・2%、2018年比では60%増えており、1990年代の水準に戻っている。
 調査員達は、これらの数字はコロナ禍で生じた失業増や高インフレの中でとられた貧困対策が限定的かつ不十分である事を示しているとしている。

□ひと口コラム□ 

富裕層向けショッピングで抗議をするホームレス労働者運動(Twitter)

 8日午後、サンパウロ市西部ヴィラ・オリンピア地区のショッピング・イグアテミで、食の貧困増大に対する抗議活動が行われた。
 主催者はホームレス労働者運動(セン・テット)で、「Fome(飢え)」などと書いた国旗をかかげて売り場に入り込み、国内で飢餓に直面している人が2020年のほぼ倍の3310万人になったことに抗議した。
 同ショッピングが抗議の場所に選ばれたのは市内きっての富裕層愛用の高級店舗とされているため。セン・テットは以前も、市内の金融の中心である証券取引所(B3)で抗議活動を行っていた。貧富や格差の拡大が切実になっていることは無視できないところ。

★2022年5月25日《サンパウロ市》極貧家庭が30%以上増加=1月時点で約62万世帯に
★2022年2月9日《ブラジル》6~7歳児の4割が読書き不可=対面授業停止の悪影響露呈=コロナ禍で広がる社会格差
★2021年12月25日《ブラジル》年間インフレは10・42%=6年ぶりの2桁台を記録

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