アマゾン失踪事件=容疑者ボートから血痕発見=2人の後を追っていたと証言=英大使館や国連委員会が批判

オリヴェイラ容疑者のボートから見つかった血痕の鑑識作業(Comunicacao Social-SR/PF/A)

 【既報関連】アマゾナス州ヴァーレ・ド・ジャバリ地区で起きた英国紙『ザ・ガーディアン』寄稿者のドム・フィリップス氏と国立インディオ保護財団(Funai)元職員のブルーノ・アラウージョ・ペレイラ氏の失踪事件で、別件逮捕中のアマリウド・ダ・コスタ・デ・オリヴェイラ容疑者(通称ペラード)が一時逮捕されたと9、10日付現地紙、サイトが報じた。
 オリヴェイラ容疑者は5日朝、サンラファエルという川沿いの部落からアタライア・ド・ノルテ市に向かったフィリップス氏とペレイラ氏を追うようにボートを出したとの目撃証言があり、事情聴取を受けた。
 だが、嫌疑が実証できず、市警が8日に使用が制限されている型の銃の弾の不法所持で同容疑者を逮捕。9日に連警が容疑者のボートを調べたところ、血痕が見つかったため、鑑識に回すと共に、逮捕令状が要請された。
 オリヴェイラ容疑者は漁師で、発見された血痕が何の血かを判別したりする必要があるが、8、9日には同容疑者が別の人と共に二人が乗ったボートの後を追ったのを見たとの証言があった。10日朝は川沿いの土地で、最近掘り返した跡と血痕が見つかっている。

鑑識課に持ち込まれたオリヴェイラ容疑者のボート(Comunicacao Social-SR/PF/A)

 失踪者二人はFunaiやヴァーレ・ド・ジャバリ先住民連合(Unijava)と共に、奥地に住み、隔離状態の先住民や先住民居住区の環境を守るためのプロジェクト推進や調査・執筆活動に携わっており、違法行為を繰り返す金鉱夫や製材業者、猟師、漁師、麻薬密売者などから脅迫を受けていた。
 ヴァーレ・ド・ジャバリ地区は何年も前から、不法伐採や不法採取などの違法行為や脅迫が頻発する危険地域とされてきた。失踪事件後は、政府の対策や対応の遅れがこの手の事件の発生を許したとの声が高まっている。
 今回は英国大使館などの諸機関が迅速な捜索拡大を求めたが、ボルソナロ大統領は「お薦めできない冒険を行っていた」と発言。法務省や軍の対応も遅れた。
 国の対応の遅れには国内外からも批判が噴出し、英国などでは抗議行動も続いている。国連人権委員会も10日、何年も前から警告してきたのにこのような事件の発生を許した上、失踪後の対応も遅すぎると批判した。

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