【既報関連】サンパウロ州イタクアケセツーバ市内で、30年以上にわたって食品用プラスチックパッケージを製造販売し、地域社会に貢献してきたスターパック社の西川渥さん(70歳、2世)が6月7日、同市市議会議場で名誉市民賞を授与された。家族や同市市会議員、招待者が式典を見守る中、西川さんは「より一層責任が重くなり、身が引き締まる思いです」と述べ、式典後には「最高です」と頬を緩めた。
今回の授賞は、昨年12月12日に西川さんに通知された。長年、西川さんと交流のある同市のエジソン・デ・ソウザ・モウラ議員が、同社がビジネスの成功だけでなく、地域社会への貢献と社員を尊重した会社経営を続けてきたことを称賛し、エドゥアルド・ボイゲス市長も西川さんに白羽の矢を立てた。
コロナ禍に入ってからは、時世も後押ししてスターパック社の食品用プラスチックパッケージは売り上げを伸ばし、100人だった従業員は140人に増加した。同社はブラジル全国の食品用プラスチックパッケージの製造業界で、現在、主要業者10社の中でも上位の売上高を誇る。
コロナ禍では、地元の病院、診療所、警察に自社のパッケージに詰めたアルコールジェルやマスクを配布し、地域社会の難局を共に乗り越えてきた。
エジソン議員は「イタクァケセトゥーバにおいて、スターパック社の歩みは今後50年、100年の歴史を通して見てもとても大きな存在です。そして何よりも西川さんの寛大な心に皆が敬意を表しています」と祝意を述べた。
スターパック社は1984年に創業された前身のSunnyvale社から、2002年に独立した。エジソン議員は、西川さんが30年以上にわたって、社員の福利厚生や仕事に必要な専門能力を開発する学習トレーニングや自己啓発の機会を提供することにも力を入れてきたことを高く評価する。
熊本県出身の両親のもと、西川さんは1952年にサンパウロ州プロミッソンで生まれた。5歳からスザノ市の北部入植地に家族と移り、同地で成長した。式典には、スザノでの西川さんの竹馬の友である篭原ルイスさん(72歳)も駆けつけた。
篭原さんは「私は入植地で日本語教師だった西川さんのお父さんに、西川さんと一緒に日本語を学びました。大和魂や武士道、『正直、義理、礼儀』といった日本の精神を教わり、彼は今もその教えをよく守っています」と西川さんを評した。両氏は幼少の頃からサッカーに親しみ、今も一緒にサントスFCの熱心なサポーターである。スポーツ愛好家で自らもアマチュアテニスプレーヤーとしてサンパウロ州連盟の大会にも出場してきた西川さんは、将来有望なスポーツ選手を個人的にサポートする他、様々な慈善活動への支援も行ってきた。