《ブラジル》ボルソナロがバイデンに選挙協力求める=米メディアが違反行為報道=PT党首「罷免に値する」

首脳会談時のボルソナロ大統領とバイデン大統領(Twitter)

 ボルソナロ大統領が訪米中、米国のバイデン大統領にブラジルでの選挙協力を依頼したことが物議を醸している。一般的に、一国の首脳が他国の選挙に関して口出しすることやそれを求める行為は禁じられている。12、13日付現地紙、サイトが報じている。
 これは米国のニュースサイト「ブルームバーグ」の報道で明らかになったもの。それによるとボルソナロ大統領は9日、一般公開されなかったバイデン大統領との対談の中で、大統領選世論調査のトップに立っているルーラ氏の政策は「米国の利益を損なわせるもの」とし、大統領選で自分を支援して欲しいと願い出たという。
 また、その報道によると、それを聞いたバイデン氏は困った様子で、即座に話題を変えたという。
 この報道は国際的に物議を醸している。一国の首脳が他国の選挙に干渉したり、指示を行うことは「主権や独立性を脅かす行為」として禁じられているからだ。
 だが、ボルソナロ氏はこれまでもたびたび同様の行為を繰り返している。2019年にアルゼンチンを訪問した際は、大統領選を数カ月後に控えていたマウリシオ・マクリ大統領の支持を演説の中で公言。これが悪印象を与え、マクリ氏の支持率が直後に急落。同氏の落選の遠因と見られている。
 ボルソナロ氏は今年2月、ロシアのウクライナ侵攻が決定的と言われ、緊張感が高まっていた最中に、米国などの反対を押し切って訪露を敢行。その際、プーチン大統領に対して「私たちはあなたと共にある」と、同氏支持とも取れる発言を行った直後にロシアがウクライナ侵攻を始めたことで、国際的にも問題となった。
 また、ボルソナロ氏がトランプ前大統領の信奉者であったことも国際的に知られており、トランプ氏が2020年の米国大統領選でバイデン氏陣営が不正を行ったと語った時も、その説も信じると発言したと報じられている。
 12日付ニューヨーク・タイムス紙はさらに、「ボルソナロ氏が軍隊を味方につけ、選挙を脅かそうとしている」とし、ここ数カ月間、軍隊が選挙高裁に対して、集計を管理させるよう強要していたことを報じている。
 バイデン氏との会談では「選挙では民主主義を順守する」と誓ったとされ、「国内でやっていることやいっていることと異なる」とも報じられていたボルソナロ氏だが、米国メディアでもその矛盾は報じられている。
 今回のバイデン氏への選挙協力依頼疑惑に対し、ランドルフ・ロドリゲス上議(レデ)やルーラ氏の労働者党(PT)のグレイシ・ホフマン党首は「ブラジルにとって屈辱的なこと。罷免に値する」と強く抗議している。
 ボルソナロ氏は11日、フロリダ州オーランド滞在中に、ダニエル・シルヴェイラ下議への判断に関して、最高裁のフェイクニュース担当のアレシャンドレ・デ・モラエス判事を批判。さらに、クーデター先導容疑で10年の実刑判決を受けたばかりのボリビアのジェアニネ・アニェス前大統領の例を出し、「自分も任期が切れたら逮捕されてしまうのではないか」との不安も漏らしていた。

最新記事