「日本移民の日」を祝して=外務大臣 林 芳正

林芳正外相(提供 外務省)

 6月18日の「移民の日特集号」発刊に際して、ブラジルにおける「日本移民の日」に思いを馳せ、日本人移住者、日系人の皆様に心からお祝い申し上げます。
 1908年6月18日、最初の日本人移住者を乗せた笠戸丸がサンパウロのサントス港に到着しました。先人は、遠く離れたブラジルに移住し、言語や文化も異なる中で、幾度となく困難に直面して来られたことと思います。
 そのような中でも、日本人の勤勉さや助け合いの精神を忘れず、力を合わせて様々な困難を乗り越え、ブラジル社会の発展に貢献し、また信頼を獲得してきたことに改めて敬意を表したいと思います。
 最初の移住者がブラジルに到着してから110年以上の時を経て、現在ではブラジルに約200万人の日系人、日本には約20万人のブラジル人が暮らし、両国の「架け橋」として友好な日伯関係の基礎を築いています。
 私自身、商社に勤務していた頃、ブラジルを訪問したことがあります。日本から地理的には遠いブラジルですが、日本を身近に感じることができる場所と感じました。
 昨年11月に外務大臣に就任した後、12月にフランサ外相と電話会談を実施し、日本とブラジルの友好関係を一層強化していくことを確認しました。
 今年5月にブラジルを訪問した小田原外務副大臣からは、サンパウロでの日系人の皆様との有意義な意見交換や開拓先没者慰霊碑への献花、日本館、移民史料館訪問を通じ、日本人のブラジル移住の歴史を学んできたとの報告を受けています。
 新型コロナウイルス感染症によって、各地で行われていた日本祭りを始め多くの活動が中止を余儀なくされましたが、オンラインによるイベントの開催など皆様の工夫と努力により、日系人の連携を強化する取り組みが継続されていることに敬意を表します。
 最近では、新型コロナウイルス感染症の流行が落ち着きつつあり、世界的に人の往来が緩和されつつあります。近い将来、コロナ禍前を上回る交流が頻繁に行われ、友好関係が一層深まることを願っています。また、経済再生に向けた日系社会の皆様の御活躍を祈念いたします。
 最後に、ブラジル日系社会の更なる発展と、日本人移住者と日系人の皆様の御多幸と御健勝を祈念申し上げます。

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