19日、コロンビアで大統領選の決選投票が行われ、グスターヴォ・ペトロ氏がロドルフォ・エルナンデス氏を破り、同国初の左派大統領が誕生した。南米では左派大統領がここ数年間で5人目となり、10月のブラジル大統領選への影響も注目される。19、20日付現地紙、サイトが報じている。
5月29日の一次投票で決選投票に進んだのは、左派連合「コロンビア人民」推薦で元左派ゲリラのペトロ氏と、独立系候補で外国人排斥を唱える極右主義の企業家のエルナンデス氏と、対象的なタイプの二人だった。
一次投票での得票率はペトロ氏が40%、エルナンデス氏は28%だったが、24%で3位だったフェデリコ・グティエレス氏が保守寄りだったため、エルナンデス氏が有利とも見られていた。だが、決選投票前の世論調査ではほとんど差がつかなかったため、勝敗の行方も当日までわからなかった。
決選投票はわずか約70万票差という大接戦の末、ペトロ氏がエルナンデス氏を破って当選した。接戦ではあったものの、エルナンデス氏はすぐに敗戦を認めた。
南米の中でも常に保守系政党が政権を握ることで知られていたコロンビアだったが、ついに左派大統領が誕生する。加えて、副大統領には40歳の黒人女性フランシア・マルケス氏が就任予定で、これも同国では画期的なこととなった。
南米では2019年のアルゼンチンのフェルナンデス氏、20年のボリビアのアルセ氏、21年のペルーのカスティジョ氏とチリのボリッチ氏に続く、5人目の左派系大統領誕生だ。2010年代半ばは、ベネズエラでのマドゥーロ政権の独裁化やラヴァ・ジャット作戦の南米全土への影響拡大などもあり、保守政権の誕生が続いていたが、ここへきて逆風が吹き始めている。10月に行われるブラジルの大統領選も、現状では左派のルーラ元大統領がボルソナロ大統領を大きくリードしている。