パラナ州で、巨大大陸パンゲアと古大陸ゴンドワナの大陸移動の移行期で、大陸が分割し始めたとされる約2億9千年前の大木の化石が大量に見つかり、多くの科学者の関心が高まっていると25日付アジェンシア・・ブラジルなどが報じた。
パラナ連邦大学(UFPR)の調査研究者達が発見したのは、海水が頻繁に押し寄せる場所で育ち、高さが最大18メートルに及ぶタイプの樹木164本分の化石だ。博士課程の大学院生が行っていた調査によって見つかった化石の森は、世界でも珍しい、立ったままの形で化石化している。
UFPRによると、生育時と同じように立ったままの樹木が化石となっている例は、アルゼンチンのパタゴニアとブラジルのリオ・グランデ・ド・スル州でしか報告されていないという。
これら2カ所で発見された化石の数はずっと少ない上、その幹は圧縮されて変形しているが、今回見つかった化石はあまり圧縮されておらず、植生をより忠実に再構築する事が可能だという。発見者のタミイ・エリン・モチン氏は、根から幹に至る部分などもきれいに残っており、どの位の密度で生育していたかなどを推定する事もできるという。
モチン氏は、他の科学者達と協力して研究を進めれば、大陸分割が起きた頃の植生や森が死んでしまった経過なども解析できると考えている。
化石化した樹木は、現在でいえば、マングローブの林に似た環境で生育していたようだ。強い雨によって急激に増水し、浸水(冠水)状態が起きたであろう事は、砂や粘土の状態からもうかがわれるという。
モチン氏は、この森は数日間または僅かな年数で急速に化石化したと見ている。幹の上部は強い水の流れで痛めつけられたが、幹の内部が水の働きで空洞化した部分にはあっという間に堆積物が溜まり、森全体を埋めてしまったのだという。通常なら化石化には数百万年を要するが、この森は急速に化石化したため、当時の環境や気候、植物の進化の過程なども推測できるとみられている。