「コロナからの復活祭」盛大に=3年ぶりの文協芸能祭開催=100演目、5百人以上が披露

非日系人が主体の松田尺八教室
非日系人が主体の松田尺八教室

 ブラジル日本文化福祉協会(文協)芸能委員会(楠本留巳委員長)主催のブラジル日本移民114周年記念「第55回コロニア芸能祭」が、25日午前10時から翌日午後5時まで、サンパウロ市の同協会ビル大講堂で開催され、連日千人以上が入れ替わり来場する盛況振りとなった。2日間で100演目以上、約500人が舞台で日ごろ鍛錬してきた芸能を披露した。

 冒頭、道田エジソンさんと共に司会を務めた藤瀬圭子さんは「たくさんの方がパンデミックで亡くなった。芸能委員会の皆さんがコロニアに元気を与えたいと動き出し、3年ぶりの芸能祭が実現した。これはコロナからの復活祭です」と伝統のイベントの再開を宣言した。
 開会式で挨拶に立った石川レナト文協会長は多くのボランティアの協力に感謝を述べた。松本ギレルメ実行委員長は「パンデミックで多くのコロニア行事が中止され、再開されなかった。芸能祭が復活したのは、50回以上積み重ねられてきた重みがあるから」と挨拶した。

開会式で挨拶する石川会長
開会式で挨拶する石川会長

 来賓の在サンパウロ総領事代理の小室千帆首席領事は「ブラジルの多文化性を強めるものとして大変うれしく思います」、JETROサンパウロの原宏所長も「重要なコンテンツ。これからも末永く続けてほしい」と述べた。
 芸能祭は松田尺八教室のブルノ・デ・カストロ・アドマン代表らによる尺八演奏披露によって始まり、リベルダーデ文化福祉協会舞踊部(蓮井康恵代表)の歌謡舞踊、リズム体操、アルゼンチン人のアルフレッド・ポンポニオさんが「愛燦々」をカラオケで熱唱した。
 その後、海藤三味太鼓や京藤間流、ブラジル郷土民謡協会、藤間流日本舞踊学校、レキオス芸能同好会、花柳金龍会、長崎県人会の龍踊、沖縄少林流空手道の演武、丹下セツ子太鼓道場、ブラジル健康体操協会などが演目を披露。26日には鳥取郷土芸能「しゃんしゃん傘踊り」が華やかな舞を繰り広げ、最終演目を飾った。
 インダイアツーバから友人4人と見に来たという来場者の鈴木芳子(85歳、山形県出身)に感想を尋ねると、「久しぶりに芸能祭に来たら、ブラジル人の出場者が多くなっていて驚いた。日本移民が歳をとって出られなくなった分、頑張ってもらっていてありがたい」と話す。
 モジから見に来た日々野初枝さん(85歳、埼玉県)は「朝10時から最後まで見た。みんな歌が上手でビックリ。踊りには差がある感じね」と辛口のコメント。熊坂トキさん(89歳、2世)は「踊りも和太鼓も素晴らしかった」との感想を述べた。
 1日目は来賓として、2日目には観客として会場に足を運んだJETROの原宏サンパウロ所長は「これだけ色々な種類の芸能が一度に見られる機会は日本でもなかなかない。演者側にたくさんのブラジル人がいて、日本文化がしみ込んでいる様子が伺われて、ビックリしました」とコメントした。
 終幕後に楠本委員長に話を聞くと「5年程前に米国シカゴで日系の夏祭りに参加したら、舞台ではフラダンスなどが披露され、唯一日系らしかったのは藤間流だけ。食もチキンの丸焼きとかが中心で、唯一売っていた日本らしいものは饅頭だけでした。その時、ブラジルの日系社会には日本の芸能や食文化が強く残っていることを痛感しました。コロニア芸能祭は日本文化だけで丸二日間も開催しています。これも舞台で演目を披露してくれる皆様のおかげ。皆で協力してしっかりと残していかなくては」と語った。
 入場料代わりに1kgの保存可能な品物(砂糖、コーヒー、洗剤など)の寄付が集められ、希望の家、憩の園、こどものその、あけぼのホームに寄付された。

文協芸能祭の写真グラフ

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