サンパウロ日伯援護協会(援協、税田パウロ清七会長)は23日の6月定例役員会で、サンパウロ州イタペチニンガ市にある旧サンタ・カーザ病院を今後、援協傘下のSUS(統一保健医療システム)対応病院として運営していくことを発表し、同病院運営委員会の発足も承認した。これは、援協が行っている公益社会福祉法人格取得継続のための措置で、今後同じくSUS対応で、同病院から距離的に近いサンミゲル・アルカンジョ病院(HSMA)との相互利用も実施していく考えだ。
援協の説明によると、現在ブラジル内の法律で公益社会福祉法人格としての免税措置を受けるためには、病院事業全体の6割をSUS対応にする必要があることが決められている。そのため、援協では昨年からソロカバなどの聖南西地域を中心に、援協として条件の合うSUS対応病院を探していたという。
そうしたところ、運営が困難となっていたイタペチニンガ市管轄の旧サンタ・カーザ病院の存在を知った。援協では6月末から90日間にわたって、同病院の試験運営を行う。同市は病院を市の財産として無償で援協に貸し出す形となり、その後の入札で正式に決定すれば、援協傘下のSUS対応病院として本格的な運営を行っていくそうだ。
援協では、イタペチニンガ病院の試験運営の90日間で約1600万レアル(月額530万レ)の経費がかかるとみており、同経費はサンパウロ州政府が8割、イタペチニンガ市が2割の割合で今後、補助金を捻出する見込みだという。
援協は「(公益社会福祉法人格取得継続のため)昨年から様々な病院を探してきましたが、他の(SUS対応の)候補病院では建物そのものを購入する必要があったりと、なかなか条件が合いませんでした。今回のイタペチニンガ病院も医療機材は古く、建物そのものもガタがきているところもあります。しかし、一番良いのは(援協傘下の)サンミゲル・アルカンジョ病院と地理的に近いことです。イタペチニンガ病院で治療した患者さんをサンミゲル病院に連れてきて中長期療養することもできると思います」と、同じSUS対応のHSMAとの連携による相互利用も考慮している。
また、23日の援協6月定例役員会で承認されたイタペチニンガ病院運営委員会には、森エリオ運営委員長ら援協役員とともにイタペチニンガ文化体育協会役員の名前も列記されており、今後の医療対策として地元地域からも安心の声が届いているそうだ。
援協では「我々の条件に合うのがイタペチニンガ病院だったが、公益社会福祉法人としての維持は間違いなくできると思う。今後3カ月(90日間)の試験運営で見極めるという形になる」と同病院経営への意欲を見せている。