ブラジル日本文化福祉協会(文協)は6月22日、サンパウロ市リベルダーデ区の同協会ビルにあるブラジル日本移民史料館9階部分の新装開幕式を同館にて行った。
開幕式で挨拶に立った石川レナト文協会長は新装事業に携わった協賛企業や関係者に感謝を述べ「史料館は近年オンライン化もされ、これまでに世界中から5万ものアクセスがありました。史料館9階の新装により、若年層を中心にさらに日系人の歴史がより知られるようになってほしい」と語った。
史料館運営委員長を務める山下リジア玲子さんは「2017年に少しずつ始めた新装事業が完了し、とても感動しています。多くの方の協力がなければ、これほど大規模な事業は到底達成することはできませんでした。今年はブラジル独立200周年でもあります。ブラジルへの贈り物として、様々な方々にご覧になってもらいたい」と語った。
小室千帆在サンパウロ総領事館首席領事は「史料館は過去の出来事を伝えるだけの場所ではありません。これまでの歴史から現在がどうなっているのか、未来はどうなるのかを考えさせてくれる貴重な場所です。日系人だけでなく、ブラジルの若い人たちにもぜひ来場して欲しい」と語った。
江口雅之JICAブラジル事務所長は「ブラジル日本人移住の歴史に関する資料の収集や保存、日本人移住に関するブラジルへの理解促進に関して史料館の貢献は非常に大きなもの」と述べた。
協賛企業代表者らが挨拶し、これまでの史料館との関わりについて語った。
1958年、家族に連れられ2歳で移住した江頭俊彦さん(佐賀県、65歳)は、「史料館7階の移住初期の様子を伝える展示を見ると、貧しく寂しかった当時のことを思い出します。展示されている家はまだ豪華なもので、私が住んでいた家は、壁が泥で作られていて、雨が降るたびに壁を塗りなおさなくてはいけなかったり、床も土なので土が固まってだんだんと低くなったりと大変でした。9階の展示物は、景気の良くなった頃の様子を伝えていて、良い思い出がよみがえってきます」としみじみと語った。