国立宇宙研究所(Inpe)が1日、法定アマゾンでは6月に2562件の森林火災が起き、同月としては15年間で最多だったと発表したと1~3日付現地サイトが報じた。
法定アマゾンでは2007年5月の3519件以後、森林火災が減少し、2008~19年は2千件未満だった。だが、2020年以降は再び増加傾向が続いている。
現政権だけ見ると、初年の19年は前年の1980件以下の1880件だったが、以後、20年2248件、21年2305件、22年2562件と増加している。
5月以降は雨が減って乾燥度が高まり、火災が起き易くなるが、6月の件数は5月よりも11%増えた。森林火災は自然発火やタバコの投げ捨てなどでも起こるが、不法な形で森林を伐採して火を放ち、農牧用地を作る事も多い。ボルソナロ大統領は6月23日に焼き畑を120日間禁ずる大統領令を出した。
現政権では森林伐採も増え続けており、5月の伐採面積は過去15年間で最大の1476平方キロだった。この数字は1月以降の森林伐採面積の44%を占め、昨年同月を31%上回っていた。
専門家は、選挙年は森林伐採や森林火災が増える傾向にある事も懸念している。これは、伐採などが多い地域の候補者が、票や金を集めるために監査活動を緩めたりするためだ。
法定アマゾンでは近年の森林伐採や森林火災、地球温暖化で、乾季後も雨量が回復しないという問題も起きている。3月発行の科学雑誌「ネイチャー・クライメイト・チェンジ」掲載の研究では、ブラジルでは20年間で75%以上の森林の安定性が失われたとしている。特に顕著なのは南部で、多くの農家が干ばつに悩まされた。
他方、森林火災に伴う煙や粉塵、干ばつは健康面でも問題を生じさせ、病院での対応数が増えている。
なお、森林火災の増加はセラードやパンタナルでも認められ、セラードでは2010年6月の6443件に次ぐ4239件の森林火災を記録。昨年同月を58件上回った。パンタナルでも、昨年5月比で17%増の115件を記録している。
今年上半期の火災件数は、セラードが13%増の1万869件、アマゾンでは17%増の7533件だった。