サンタクルス日本病院(HJSC)は6月28日、がんセンター(COSC)開所式及び新設備導入お披露目式をサンパウロ市ビラ・マリアナ区の同センターにて行った。COSC開所は、国際協力機構(JICA)の助成によって実現した。
式典にはロドリゴ・ガルシアサンパウロ州知事、ジェアン・ゴリンシュタインサンパウロ州保健局長、林禎二駐ブラジル日本国大使、小室千帆在サンパウロ総領事館首席領事、江口雅之JICAブラジル事務所所長、佐藤マリオHJSC理事長、石川レナトHJSC評議会議長、西国幸四郎HJSC第1副理事長らが出席。
出席者らは、COSC受付に設置された記念プレートの除幕を行った後、施設視察を行った。
COSCには、放射線科、臨床腫瘍内科があり、放射線科では米国バリアン社製の最先端放射線治療機器による治療が受けられる。臨床腫瘍内科では、化学療法、免疫療法、ホルモン療法による治療が受けられる。
COSCが導入したバリアン社製放射線治療機器「Halcyon」は、サンパウロ市の著名病院もまだ導入していない最新モデルで、患部への放射線照射回数を従来機器より減少させることに成功した高性能機器だ。 また、同社製「GammaMed」で、子宮頚癌や前立腺癌治療(ブラキセラピー)を行う。
ロドリゴ知事は「歴史あるHJSCのがんセンター開所式に出席できてとても喜ばしい。癌の発生率が増えている昨今、COSC開所は、州民にとって非常に有意義なこと」と語った。
COSC開所事業は、林大使が日本国外務省中南米局長時代に始められた。林大使は「COSC開所を大変めでたく思います。すべてはブラジル日系人の努力とマネージメントの成果です。日系人のみならず、非日系のブラジル人の方々にも活用してもらいたい」と喜んだ。
江口所長は「COSCが開所できたのは事業に携わってくださった方々のおかげです。おめでとうございます」と祝辞を述べた。
佐藤理事長は、公立病院とも連携し、COSCの治療機器を統一医療保健システム(SUS)の枠内で使用できるように、自治体と交渉中であることを明かした。
佐藤理事長の意向に対し、ジェアンサンパウロ州保健局長は「サンパウロ州ではすでに、『コルジャーオ・ダ・サウーデ』(2019年にサンパウロ州政府が始めた施策。自治体と私立病院が連携して、検査や手術の待ち時間を短縮をさせる取り組み)が実施されており、HJSCとの連携もぜひ前向きに検討したい」と答えた。